「どうして、あの自分勝手な人のほうが得をしているように見えるのか」
「人に気を使い、真面目にやってきたのに、なぜ報われないのか」
そんな疑問を持ったことはないでしょうか。
あなたの周りにもいませんか。
• 自分のことを中心に考える人
• 目先の利益ばかり追う人
• 他人に配慮できない人
こういう人は一見得しているように見えます。
逆に、
• 他人に優しい
• 周囲に気を配る
• 未来を見据えて行動する
こういう人は自分をと回しにして損をしているように見えます。
こちらの記事で、平成の失われた30年の常温生活で、「今ここの自分を大事にする」生活態度は、一歩間違えると、この考え方が行き過ぎると、「今だけ・ここだけ・私だけ」という、極端に視野の狭い生き方へと変わってしまう危険性があるとお伝えしました。
常温生活の「今ここ私」は「今だけ・ここだけ・私だけ」になっていないか? | 新しい生き方働き方暮し方ブログ
https://atarashiihatarakikata.com/articles/43平成後期の常温生活の中で生まれた「今ここ私」の生活態度。 その「今ここ私」は、いつのまにか「今だけ・ここだけ・私だけ」 になっていないだろうか?
最新の心理学研究や進化心理学の視点で見ると、実はその生き方は「長期的には最も運がよくならない」であることが分かってきました。
この記事では、「認知的焦点化理論」に基づいて、なぜ時間軸×関係軸に対し「配慮の範囲」を広げることが、あなたの運を良くするのか、逆に「今だけ・ここだけ・私だけ」の生き方は運がよくならない、運を遠ざけてしまうのか解説します。
「認知焦点化理論」とは何か?
私たちが何かに向き合う際、心のスポットライトがどこまで届いているか。
それを数値化・分類しようとするのが、京都大学大学院教授で、2012年から
2018年まで安倍内閣内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた
社会工学者の藤井聡氏がに着目した心理学理論=「認知的焦点化理論」です。
“自分勝手なあの人” が結局損してる科学的理由。「他人に優しい人」が最後には得する。 - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習
https://studyhacker.net/ninchiteki-syoutenriron自分の利益だけを追求し、他者の利益を軽視する考え方を利己主義といいますが、実際には、利己的であるほど損をしてしまうのだとか。 自分の得になるよう行動しているわりには、それほど物事がうまくいっていない……そう感じている人に、 「認知的焦点化理論」を紹介します。 (※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです) 人間は皆、本当に利己的なのか? 慶應義塾大学名誉教授で経済学者の岡部光明氏によると、主流派の経済学では、利己主義と合理性を基礎に理論が組み立てられているのだそう。確かに、「売りたい」「稼ぎたい」「得したい」は利己的な印象です。 しかし同氏は、「利“他”的な行動(自己の損失をかえりみず他者の…
人が何かに向き合う際、どれだけ他人に配慮できるかといった観点で、
人を分類しようとする試みです。
認知焦点化理論では、 人が何かに向き合うときの 「配慮の範囲」 を、 次の2軸で測定します。
この理論では、以下の2つの軸で「配慮の範囲」を考えます。
•横軸(関係軸): 「自分だけ」から「家族」「友人」「赤の他人」「社会全体」へと広がる。
自分だけか、身近な他人か、社会全体まで含むか
•縦軸(時間軸): 「今この瞬間」から「明日」「1年後」「100年後の未来」へと広がる。
今だけか、近い未来か、遠い将来まで含むか
この2軸で囲まれた面積が、その人がどこに焦点を当てているかの「配慮範囲」です。
周囲や社会など心理的な距離を示す横軸を進むほど関係が遠くなり、時間を示す縦軸を
進むほど思いを及ぼす時間が長くなります。両軸を結ぶ範囲が「配慮範囲」を表します。
「配慮範囲」が狭いほど利己的で、「配慮範囲」が広い人ほど利他的とのこと。
藤井氏の研究が導き出した結論は次のとおりです。
配慮範囲の面積が広い人ほど、結果的に「運が良くなる」
配慮範囲の面積が狭い人ほど、長期的には「損をする」
•自分のことだけか、それとも他人まで及ぶのか
•現在のことだけか、それとも社会の将来まで及ぶのか
面積が広い利他性が強い人ほど、心理学的に「運が良い」という結論が出ています。
逆に、自分の利益(今だけ・ここだけ・自分だけ)に執着する利己的な人は、
面積が狭く、結果的に損をするというのです。
•自分のことだけを考え、今しか見ていない人
→ 配慮範囲はとても狭い
•他人のこと、社会のこと、将来のことまで考えられる人
→ 配慮範囲は広い
認知焦点化理論の背景にある「進化心理学の原理」
なぜ、配慮の範囲で運がよくなったり悪くなったりするのか?
認知焦点化理論の背景には進化心理学の原理があります。
進化心理学とは、ウィキペディアによれば、
『進化心理学(しんかしんりがく、英語:evolutionary psychology)は、
ヒトの心理メカニズムの多くは進化生物学の意味で生物学的適応であると
仮定しヒトの心理を研究するアプローチのこと。』
人間行動進化学会は、進化心理学を「社会学と生物学の視点から、現代的な進化理論を用いて、感情、認知、性的適応の進化などを含めた人間の本性を解明する学際的な学問」と位置づけている。
その進化心理学に基づいて、
『人類は協力することで進化を遂げてきたとわかったそう。 裏切り続ける人が多くなると
無秩序社会になり、協力する人が多くなると、穏やかで平和な社会になるとのこと。』
互恵不能原理、暴露原理、集団淘汰原理の3つの理論で、損得勘定で利己的に行動する人は結局は損をしてしまうと藤井氏教授は解説しています。
つまり、
配慮範囲が広い人、つまり、「利他性:他人のために動ける性質」は、
厳しい自然界を生き抜くためにDNAに刻まれた生存戦略。
長い歴史の中で、長期的かつ集団的な文脈で、“生き残りやすい行動”を無意識に
選んでいると考えられています。
■互恵不能原理
「見返りを求めない行動が、巡り巡って自分の生存率を高める」
人は「長期的に信頼できる相手」と関係を結ぶ傾向があり、利他的な行動は巡り巡って
協力者が増える。
「自分勝手な人は、長期的には集団から排除される」
利己的な行動は短期的には得をするが 長期的には信頼を失い協力者がいなくなる。
■暴露原理
「繰り返し接触する人ほど、好意や信頼が蓄積される」
誠実さや正直さは時間をかけて効いてくる。
「利己的な行動は必ず露見する」
人は“自分勝手な人”を敏感に察知し、嘘や自分勝手な行動は、長期的には必ず
周囲に露呈し信頼を失う。
■集団淘汰原理
「他者を思いやる個体が多い集団ほど、生存競争に勝ち残る」
利他的な行動は、 集団全体の生存率を上げるため結果的に個人にも利益が返ってくる。
「短期的にズルをする個体よりも、協力的な集団のほうが長く生き残る」
互いに疑心暗鬼になって協力関係にない集団は生き残れない。
時代によって「時間軸 × 関係軸」の配慮範囲が狭まっていく
認知焦点化理論では、社会全体のことや遠い未来のことまで思いを馳せることができる人は面積が大きくなる例として、幕末の志士を例に挙げています。
社会全体のことや遠い未来へ思いを馳せる文化は、幕末だけでなく戦前にも色濃く残ってしました。
それが戦後の高度経済成長を経て急激に薄れていったようです。
■歴史からみた時間軸×関係軸の配慮範囲
時間軸×関係軸の配慮範囲の変化を歴史的な視点で見てみましょう。
歴史を振り返ると、私たちの「時間軸 × 関係軸」は、社会の仕組みや価値観によって
大きく揺れ動いてきました。 広い視野を持つことは、単なる精神論ではなく、
社会のあり方そのものと深く結びついていることが良くわかります。
幕末の志士の配慮範囲:広大な時間と関係を抱えた人々
幕末の志士たちは、自分の命や目先の損得を超え、「国の未来」や「まだ見ぬ次の世代」のことを真剣に思い描いていました。国家の行く末を憂慮し、極めて広い時間軸と関係軸を持っていました。
時間軸×関係軸で見れば、彼らの配慮範囲は広大な面積を持っていたと言えます。
戦前の暮らし:自然に受け継がれていた“広い配慮範囲”
90歳以上の方へのヒアリング調査では、地域社会や家族、先祖・子孫といった“見えないつながり”を日常的に意識していた価値観が確認されています。
戦前の生活は、共同体の中で、それぞれの役割を果たしながら生きることが前提であり、個人の行動は自然と広い範囲に影響を及ぼすものでした。つまり、社会構造そのものが、人々の心に「広い関係軸」を育てていたのです。
戦後〜高度経済成長〜平成:時間軸×関係軸の配慮範囲が急速に縮む時代へ
しかし戦後、特に高度経済成長期を境に、社会全体の価値観は大きく転換します。
効率、生産性、地域コミュニティーが崩壊、個人最適、そして「今さえ良ければいい」という
短期志向が強まり、人々の心の地図は急速に縮小。時間軸×関係軸への配慮範囲は急激に
縮んで行きました。
かつては“未来の世代”や“地域全体”まで含んでいた視野が、次第に“自分”と“今”だけに
焦点を当てるようになっていったのです。
この変化は、単なる価値観の変化だけでなく、生活範囲、社会制度、教育、
経済構造、メディア環境などが複合的に作用し、人々の認知の焦点そのものを
変えてしまった結果だと考えられます。
「常温生活」の今だけ・ここだけ・自分だけでは運は良くならない
こちらの記事で、常温生活の「今ここの自分を大事にする」生活態度は、一歩間違えると、
「今だけ、ここだけ、自分だけ(目先のことだけに意識が向く刹那的な利己主義)」
という罠に変わってしまう危険性があるとお伝えしました。
常温生活の「今ここ私」は「今だけ・ここだけ・私だけ」になっていないか? | 新しい生き方働き方暮し方ブログ
https://atarashiihatarakikata.com/articles/43平成後期の常温生活の中で生まれた「今ここ私」の生活態度。 その「今ここ私」は、いつのまにか「今だけ・ここだけ・私だけ」 になっていないだろうか?
現代人によくあるコスパやタイパなど、
•今だけ
•ここだけ
•自分だけ
の「常温生活」と表現されます。
これは怠けでも、道徳の欠如でもありません。
常に成果を求められ失敗できない社会に適応した合理的な生き方です。
でも、認知焦点化理論の視点から見ると、
この状態には大きな限界があります。
時間軸×関係軸の配慮範囲が極端に狭いと、信頼も機会も、時間とともに縮んでいく。
短期的には得をしているように見える人が、長期的に孤立し、機会を
失っていく、つまり運がよくならない理由はここにあります。
いまの私たちは、「今だけ・ここだけ・自分だけ」という狭い枠の中に閉じ込められつつあります。 便利さと効率を追い求めるあまり、未来のことも、他者のことも、社会全体のことも視界から消えつつある。
その結果、かつて人々が自然に抱いていた“志”や“配慮の感覚”は、確実に失われてきました。
しかし、このまま視野が縮み続ければ、社会は確実に脆くなります。
未来を思い描く力を失った共同体は、長期的な課題に向き合えず、
他者への想像力を失った個人は、つながりを保てなくなるからです。
歴史を振り返れば、広い時間軸と関係軸を持つ人々が社会を支えてきました。
幕末の志士は、自分の命を超えて「国の未来」を思い描き、
戦前・戦中の人々は、家族や地域、先祖や子孫とのつながりを自然に意識して暮らしていました。
ところが現代は、効率や個人最適が優先され、
“未来”も“他者”も、まるで自分とは無関係なもののように扱われてしまう。
この変化は、単なる価値観の違いではなく、社会の持続性そのものを揺るがす問題です。
だからこそ、いま必要なのは、 “今だけ・ここだけ・自分だけ”の世界から抜け出し、
もう一度「広い視野」を取り戻すことです。
自分の行動が未来にどう影響するのか、
自分の選択が誰を支え、誰を傷つけるのか、
その想像力を取り戻すことが社会を立て直すとともに、
自分の運を良くする第一歩になると思います。
時間軸×関係軸の配慮範囲を「少しずつ」広げていく
急激に配慮を拡大するのは難しいと思います。
大切なのは、いきなり利他的になれ、立派になれ、といっても無理があると思います。
自分イノベーションを起こし、行動変容するためにスモールステップ。
出来ることから無理をせずに実行していくことをおすすめします。
前提は、自分を原点にすること。
• 今ここ自分を否定しない
• 自己犠牲をしない
• 無理に善人にならない
そのうえで、
ほんの少しだけ、
時間軸と関係軸を広げてみる
たとえば
•目の前の人に、少し丁寧に接する
•今日の行動が、半年後どうつながるか考えてみる
•自分の行動が、誰かの安心につながっているかを意識する
これは、自己拡張・意識の拡張・行動の拡張であって、
自己否定ではありません。
まとめ:「未来を想い」「他人に優しい人」が最後に得をする理由
認知焦点化理論が示しているのは、
「いい人は報われる」という精神論ではありません。
配慮範囲を広く持てる人ほど、
長期的・関係的な世界で、自然と“運が開ける位置”に立ちやすい
ということを科学的に研究した内容です。
もし今、
「真面目にやってきたのに報われない」
と感じているなら。
それはあなたの価値が低いのではなく、
配慮範囲が活きる環境に、まだ置かれていないだけ
かもしれません。
環境が変われば、運の流れも、静かに変わっていきます。

「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。