「頑張りたいのに頑張れない」のは甘えではなく脳のエネルギー不足かもしれない

「頑張りたいのに頑張れない」のは甘えではなく脳のエネルギー不足かもしれない

「頑張りたいのに頑張れない」そんな自分に自己嫌悪に陥ったり、自分の甘えのせいにしたり、根性が足りないと鞭打って無理をしている人も多いようです。 「頑張りたいのに頑張れない」のは脳のエネルギーが影響している可能性があります。その脳のエネルギーが活性化するか枯渇するかは毎日の活動体験にかかっている。そんな研究が発表されました。

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頑張りたいのに頑張れない

「頑張りたいのに頑張れない」
「やる気はあっても、思うように頑張れない」
「もっとできるはずなのに、どうして頑張れないんだろう」
・・・・・

そんなふうに、自分を責めてしまう人は少なくありません。

そんな自分に自己嫌悪になったり、自分の甘えのせいだと自分を責めたり、
根性が足りないと鞭打って無理をしている人も多いようです。

でも、
「頑張りたいのに頑張れない」のは脳のエネルギーが影響している可能性があります。
やる気の問題ではなく、脳のエネルギーが足りないから頑張れない。

その脳のエネルギーが活性化するか、枯渇するかは毎日の活動体験にかかっている。
そんな研究が発表されました。

「頑張りたいのに頑張れない」のは脳のエネルギーが影響

その研究というのは、この「心理社会的体験は人間の脳ミトコンドリア生物学と関連しています」という研究内容です。

Psychosocial experiences are associated with human brain mitochondrial biology - PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38889126/

Psychosocial experiences affect brain health and aging trajectories, but the molecular pathways underlying these associations remain unclear. Normal brain function relies on energy transformation by mitochondria oxidative phosphorylation (OxPhos). Two main lines of evidence position mitochondria bot …

「頑張りたいのに頑張れない」のは、脳のエネルギーが枯渇しているから。

私たちが前向きに行動するためには脳の中に十分なエネルギーが必要で、エネルギーが
枯渇していれば、「頑張ろう」としても、ガソリンが空の車でアクセルを踏み続けるように
空回りしてエンストしてしまいます。

「頑張りたいのに頑張れない」のは甘えとか気合などの気持ちの問題以前の、脳のエネルギーが
足りない生理的な問題が大きいかもしれません。

「頑張りたいのに頑張れない」状態は脳内ミトコンドリアが活発化していない

なぜ脳内ミトコンドリアが重要なのか?

脳内ミトコンドリアは脳細胞が活動するためのエネルギーを生み出します。
つまり、
脳内ミトコンドリアは脳細胞のエネルギー工場の機能役割を持っているということ。

・考える力
・判断する力
・意欲
・感情の調整
などなど・・・

これらはすべて、
脳内ミトコンドリアが十分に機能しているかどうかに左右されます。

つまり、

・「やる気が出ない」
・「考えるのがしんどい」
・「未来を思い描けない」
など・・・

「頑張りたいのに頑張れない」状態は、脳内ミトコンドリアが活発にならず、
脳のエネルギー工場が上手く機能していない状態と考えられます。

「心理社会的な経験」が脳のミトコンドリア機能を活発にする

この研究では、私たちの「心理社会的な経験」が脳のミトコンドリア機能(脳の細胞エネルギー産生機能)に影響を与えることが示されました。

ポジティブな心理社会的経験がミトコンドリア内でエネルギー生成の主要な構造やタンパク質の量を増加させ、ネガティブな心理社会的な経験が減少させる。

● ポジティブな心理社会的経験は脳のミトコンドリア機能を活性化する
●ネガティブな心理社会的経験は脳のミトコンドリア機能を低下させる
●その差は18〜25%の違いを生む

毎日の生活でポジティブな経験を増やすことが、脳のミトコンドリア機能を活発にし、
脳のエネルギーを満たしていくということ。

「頑張りたいのに頑張れない」のは、ネガティブな経験が引き起こしているのかもしれません。

脳のエネルギーを高める「5つのポジティブ経験」

この研究では、脳のミトコンドリア機能と相関が高かったポジティブな心理社会的経験として、
次の5つを示唆しています。

社会的ネットワークの質と広がり

多くの友人や知人の社会的ネットワークを広げる事。

大切なポイントは、社会的なネット―ワーク。

単なる人付き合いでも、仕事上の付き合いでも、ネット上の友だちではありません。

・安心して自分を出せる関係
・評価されるためではないつながり
・自分の存在が“場に必要とされている”感覚

日本人、とくにギバーが最も大切にしてきた価値です。

しかし平成後期の環境では、

・空気を読む
・役割を演じる
・すぐにリセットする関係
・利害だけの関係

が増え、「安心して自分を出せる関係」が激減しました。

高齢まで続く社会活動

社会活動とは、ウィキペディアでは、「社会活動とは、人間によって行われる活動の中でも、
社会に参加して社会のために貢献をするようなもののことを言う。」

社会活動の種類として、ボランティア活動、NPO活動、地域イベントの参加、
環境保護活動など、金銭的な報酬を主な目的とせず、社会を良くしたいという
思いに基づいて行われることが多いようですが、仕事そのものも立派な
社会活動だと思います。

重要なのは、
・誰かの役に立っている感覚
・自分の行動が社会とつながっている実感
です。

だから、大きな社会貢献である必要はない
半径数メートルの世界でもいい

しかし「常温生活」では、

公より私、社会は自分と無関係
という空気が強まり、社会との接点が弱くなったようです。

人生の目的(パーパス)があること

人生の目的というと、大層な目標や夢などイメージしてしまいますが、

立派な目標でなくていい。
「なぜ、これをしているのか」を自分の言葉で説明できること。

・なぜそれをやっているのか
・なぜ自分がここにいるのか
・誰の役に立ちたいのか
・何を大切に生きたいのか
・この行動はどんな意味を持つのか

が、自分の言葉で説明できる状態です。

研究が示すのは、パーパスは「前向きな思考」ではなく
脳のエネルギー配分を安定させる構造、エネルギーを生む源泉。
という点です。人生の羅針盤と言えます。

羅針盤がない状態では、脳は常に迷走し消耗します。

幸福感を高める

日々の小さな喜びを味わい、脳を「安全・快」の状態に置くこと。
一時的な快楽ではなく、生き方全体に通じる納得感や手応え。

含まれる主な要素:

・人生の目的を感じている
・成長しているという感覚
・他者との肯定的な関係
・自分を受け入れている感覚
・自分で選んで生きている(自律性)
・環境に飲み込まれず対処できている感覚

まさしく、「自分イノベーション」で目指す、
人生のオーナーシップ(当事者能力)を持ち、人生の羅針盤を持ちながら、自分を起点として
周囲の人と良好な関係を持ちながら、トライアンドエラーで道を切り拓くこと。

とても、ハードルが高そうですが、「脳のエネルギー」という視点では、
日常の中で、本当の自分が喜ぶこと、エネルギーを生み出す源泉を見つける

本来の自分とつながり、日々を小さな喜びを積み重ねる。
そう考えると、「頑張りたい」気持ちが湧いてきそうです。

未来への時間展望を持つ

将来に対して「こうなりたい」という前向きな期待を持つこと。
将来に対するポジティブな展望や期待を持つこと。

・未来への展望を持つ
・未来に対する期待
・長期的な視野で物事を捉える

失われた30年の常温生活では失ってしまったこと。

でも、「脳のエネルギー」という視点では、

焦らず、気負い過ぎず、脳のエネルギーを活性化する経験を少しづつ増やしていく。

ビジョンや理想を描くことは、まだハードルが高くても、
その先に何か起こるかもしれないというワクワク感や、
今、頑張ったらどんな未来が待っているかという想像力が湧いてくるかもしれません。

脳のエネルギーを停滞させる「ネガティブな経験」

ここまで、脳のエネルギー(ミトコンドリア)を活性化させるポジティブ体験を見てきました。

では逆に、どんな体験がミトコンドリアを停滞させるのか?

ミトコンドリア機能を低下させ、脳内エネルギーを停滞させる
「ネガティブな経験」を見ていきます。

慢性的ストレス

ストレスは起きていることに対し、それをどう感じているか(認識)によって
起きると言われています。

長期にわたる仕事や家庭や経済的ストレス、絶え間ない緊張状態、休息が取れない生活
などにより、不安・抑うつの増加・情緒の不安定化・注意力・判断力の低下など心理的
影響が出ます。

常に緊張し、ストレスを強く認識していると、ミトコンドリアにダメージを与え、
何もしていなくてもエネルギーが停滞します。

社会的孤立・孤独

他者との交流が少ない、相談できる支援者がいない、孤独感が強いなど状態になると、
自尊心の低下や不安・抑うつのリスク増加、ストレス耐性の低下など心理的な影響が出ます。

大切な要素として、人間は社会的な動物であり、他者とのポジティブな交流が
ミトコンドリアを活性化させるホルモン(オキシトシンなど)を分泌させるようです。

社会的孤立や孤独はホルモンの分泌を止め、ミトコンドリアにとって「燃料不足」を意味します。
誰とも繋がっていない感覚が、気力を吸い取り、動く理由を消し去ります。

孤独や孤立は、異常事態であり、 ミトコンドリアが活動を抑制するとも考えられます。

ネガティブな人生の出来事の蓄積

就職に失敗、仕事を失う、リストラなどのネガティブな出来事は、
努力しても報われなかった、裏切られた経験が続いた、評価されない、
見捨てられた感覚など、強い心理的ショックを生みます。

この強い心理的なショックは、ミトコンドリアから大量の「活性酸素(ROS)」を放出させ、自分自身の細胞を傷つけ、発電効率を著しく低下させるようです。

何をやっても何となく馬力がなくなったと感じられ、
新しいことにチャンレンジすることに尻込みしてしまいます。

逆境的な子ども時代の経験

幼少期の虐待・ネグレクト、暴力・事故・災害、深刻な喪失体験は、
PTSD症状、過覚醒・回避行動、感情調整の困難など心理的状況を生み、
ミトコンドリアDNA(mtDNA)損傷やATP産生能力の低下、神経回路の脆弱化
炎症反応の慢性化など様々な脳への影響がるようです。

そこまで、辛い経験でなくても、
親から否定され続けた、安心できる大人がいなかった、感情を表現すると叱られた
家庭内に慢性的な緊張があったなど・・

こうした体験は、脳に 「世界は危険」「常に身構えよ」 という信号を刻み、
その結果、 ミトコンドリアは 常時防衛モードに入り、
エネルギーを生み出すより「消耗を抑える」方向へ向かいます。

抑うつ症状・否定的な気分

気分が沈みがち、自分を責め続ける、何をしても楽しくない
など否定的な気分が続くと、「どうせ無理」「自分なんて」という否定的な思考に
なってしまいます。

慢性的な否定的な気分は、ミトコンドリアが機能の管理が狂い、
脳内に「サビ(酸化ストレス)」が溜まっていくようです。

この状態が続くと、さらに思考が重くなる悪循環(負のループ)に陥り、
思考の霧が晴れず、常に頭にモヤがかかったような重さを感じます。

「頑張りたいのに頑張れない」失われた30年という時代環境

心理社会的な経験は脳のエネルギーに影響するミトコンドリアの機能に影響する。

●脳のミトコンドリア機能を活性化するポジティブな心理社会的経験
●脳のミトコンドリア機能を低下させるネガティブな心理社会的経験

を見てきました。

こう見ていくと、「頑張りたいのに頑張れない」のは、
これまでの時代環境が大きな影響を持っていること。

私たちが、失われた30年で、「ネガティブな心理社会的経験」
ばかりを積み重ね、脳のエネルギーを活性化する
「ポジティブな心理社会的経験」を積めなかった人も多いのではないかと感じます。

「ネガティブな経験」ばかり連続する環境

失われた30年は、バブルが崩壊し、氷河期世代は希望する就職ができず、
リストラが横行し、雇用も不安定、自分もいつどういう状況になるかわからない。

成果は出ない、評価されない、先は見えない、でも自己責任
という環境でした。

その環境の中で、これらの「ネガティブな心理社会的経験」を
積めなかった。

・ネガティブな出来事の連続
・慢性的なストレス状態
・誰とも相談できない孤独感
・否定的な気分
など

特に、周囲への配慮を重んじ、利他性が高い人、感受性が高い人
空気を読みすぎる人、真面目で誠実な人・・

いわゆる お人よしのギバーほど、「頑張りたくても頑張れない」
脳のエネルギーが摩耗していた可能性があります。

「ポジティブな経験」から遠い常温生活

平成後期の2010年ころから発生した
常温生活はどうでしょう。

・関係性は浅くなり
・社会との接点は切れ
・パーパスは語られず
・幸福感を持てず
・未来は考えない

常温生活は、脳のエネルギーで見てみると「ポジティブ経験」から明らかに遠い環境です。

生活者は、社会や時代に必要以上に熱く怒りを感じることも、悲観して冷え込むこともなく、現状を静かに受け止め、身の周りに幸せを感じながら暮らしています。

常温生活は、見方によれば楽しい毎日かもしれません。
でも、脳のエネルギーという視点から見れば、決していい環境ではない。

人生の目的、人とのつながり、社会的活動、将来的な展望、毎日の幸福感・・
ヒトとして持って生まれた生理的には脳のエネルギーを高める経験を積むこと。

特に、「頑張りたいのに頑張れない」と思っている人にとって。
意識の転換が必要です。

まとめ 「頑張りたいのに頑張れない」なら経験を見直す

「頑張りたいのに頑張れない」人に、
脳のエネルギーに影響するミトコンドリアの機能、ミトコンドリア機能を活性化するか
停滞させるかは、日々の経験が大きな影響を持つことをお伝えしました。

やる気など心理的な要因もあるけれど、脳のエネルギーが枯渇していては頑張れない。

止まってしまった脳のエネルギー発電所を再起動するには、歯を食いしばって
頑張ることではありません。

必要なのは、「ミトコンドリアが活性化する条件」を整えること。
ポジティブな経験を増やすこと。

そのためには、ポジティブな経験を積める「環境」を選択していくことがとても重要だと思います、

この記事のライター

「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。

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