現代社会では、タイパやコスパなどが重視されていて、合理化・効率化・利便性・スピード化・個人化(プライベート重視)・規格化などの徹底した合理志向が高い社会にいて、我々の生き方働き方暮らし方のあらゆる側面に影響を与えています。
その合理性が、毎日の生活を豊かにしている反面、つながりの欠如、個人化による社会の分断、他者への不寛容、賃金格差、健康問題、メンタルヘルスなど、様々な弊害が起きています。
合理的な日常に追われ、効率を追求すればするほど、その人本来の「人間性」や「自分らしさ」を見失っています。
しかも、コロナを経て、多発する国際紛争、気候変動や大地震の予兆など、大きな変化が次から次に目まぐるしく起きている中で、合理化の弊害が加速し、多くの人が疲弊し、自分本来の「人間性」、「自分らしさ」を取り戻したいという気持ちが芽生えているように感じます。
今回は、近代化・工業化の中で起きた、普遍的な合理主義精神が生み出した、人間性喪失や環境破壊などを指摘した脱人間化「マクドナルド化した社会」についてお伝えします。
そして、合理化の中で100%自分らしさを埋没するのではなく、ポートフォリオを組むことで合理化を逆手に取る。「自分らしさ」を取り戻す、ピンチをチャンスに変える考え方をお伝えします。
「自分らしさ」を見失うマクドナルド化した社会とは
マクドナルド化する社会とは、アメリカの社会学者ジョージ・リッツァの著書で、マクドナルドを例に挙げ、社会全体が合理性を追求していき、合理性・効率性・利便性だけが最終目的になってしまったとき、人間性の喪失や環境破壊や脱人間化という非合理的なことが起こってくることを指摘したものです。ウィキペディアから引用します。
マクドナルド化(マクドナルドか、英語: McDonaldization)とは、マクドナルドの規(のり)を当て嵌めること、即ち社会がファストフード店の規則や規格や様式を取り入れることである。社会学者のジョージ・リッツァが1993年の著書『マクドナルド化する社会(英語版)』(The McDonaldization of Society)の中で展開した用語。
合理化による脱人間化では、当然のように「自分らしさ」を見失っていきます。
マクドナルド化の過程は、「グローバル化による文化の世界的な均質化に関する最近の(定量化)思想の中で、ファストフード店の原理がますます多くの分野を支配するようになること」として要約できる。
ファストフード店の原理とは、大資本・大企業が経営母体となり、フランチャイズ形式で、店舗運営の仕組み・ノウハウ・ブランド・商品・サービスなどを一括のパッケージで提供し、全国展開することで、消費者は、全国どこでも、同じ商品やサービスを受けられるので、安心した品質で利便性が高く効率的な買い物ができるというもの。
この原理は、ファストフードだけでなく、コンビニ、スーパー、薬局、アパレル、など様々な業種で全国チェーン展開されています。
■大資本・大企業による全国チェーン展開の特徴
大資本・大企業による全国チェーン展開の特徴をこちらのサイトから引用します。
G.リッツァの提唱した『社会のマクドナルド化』の概念をベースにして、現代社会でどうしてマクドナルドやスターバックス、吉野家、コンビニをはじめとするチェーン店、あるいはイオンのような大型ショッピングモールが流行するようになったのかを考えていきます。
こちらでは、『人間関係・人格の理解(顕名性)』がある個人経営のお店と、『画一的な規格化されたサービス・儀礼的無関心(匿名性)』の高い全国チェーン店との対比をしています。その対比は、匿名化されたマクドナルド化した社会の合理性を理解するのにとても役立つので、引用させていただきます。
1.サービスのマニュアル化・商品の標準化画一化……同じブランドの看板を掲げた全国展開のチェーン店では、全国どこでもほぼ同じようなマニュアルに沿ったサービスを受けることができ、ほぼ同じような商品を購入することができるので『外れ(想定外のトラブル・商品の不足)』が少ない。個人経営の店では、その一店舗だけしかお店がないことも多く、複数の店舗があってもサービスや商品が十分に標準化されていないので、『店長の個性・人柄,お店の品揃え』に良くも悪くも想定外の影響を受けやすい。また個人のお店では、マニュアル化された適度な距離感のある“お客様扱い”をしてくれるとは限らない。
2.儀礼的無関心・画一的なお客様扱い……個人経営の店では匿名のお客とビジネスライクなやり取りをするよりも、何度も来てくれるお客との間に『一定の人間関係』を築こうとする傾向があり、『世間話・家族話・近況の報告』などを向けてきたりする。大手のチェーン店では、店員とお客の立場の境界線が個人店よりも明確であることが多く、基本的にお客に対しても店員に対してもお互いに『儀礼的無関心』を貫いて、『買い物・飲食などの目的』だけをスムーズに達成しようとする。チェーン店では初めてのお客でも何度も来ているお客でも、原則として『画一的な礼儀正しいお客様扱い』をする。
3.コミュニケーションの場・一見と常連の待遇格差……個人経営の店は、雑談や近況、世間話などをする仲間が集まる『コミュニケーション(懇親・交流)の場』として期待されている所も多く、特に、小さな料理屋・スナック(飲み屋)などはそういったパーソナルな人間関係を含めないとお客さんがつかないが、“一見(初めての客)”と“常連(馴染みの客)”には自ずから待遇の差が生まれやすく、常連を持て成すことで固定客を確保するのである。
安心して効率的な買い物をすることができ、マニュアル化された定型的な接客技術によって店員と顧客が非人格的な主体として扱われるので、『買い物・サービス享受の目的』を確実かつ迅速に達成しやすくなる。最小限のコミュニケーションや気配りだけで買い物を終わらせることができ、店員も顧客も馴れ馴れしく一般的な会話をしないという暗黙の了解があることで、『儀礼的無関心による気楽さ』が保証されているのである。
■背景にある現代社会の合理主義精神があらゆる領域に浸透している
顧客は、大資本・大企業による全国チェーン展開の、プライベートを交えたコミュニケーションをせずにすむ、買い物・サービス享受を目的とした、画一的な安定したサービス(気兼ねしなくて良い匿名的なサービス)が受けられる全国共通のチェーン店を好む傾向。この背景にある現代社会の合理主義精神が、あらゆる領域に浸透していると指摘しています。
マクドナルド化(McDonaldization)とは、マクドナルドの効率的・分業的な経営理念とその背景にある近代の普遍的な合理主義精神が、現代社会のあらゆる領域に浸透・拡散しているという現象を指している。
“合理化・効率化・スピード化・個人化(プライベート重視)・規格化”が進展する現代社会においては、近代化と個人主義の必然として『大資本・大企業の運営するチェーン店』で自分の目指している商品やサービスを気兼ねなく迅速に購入したり利用したいという顧客が圧倒的な多数派になる。
マクドナルド化した現代社会の普遍的な合理主義精神は、日常生活のあらゆる領域に浸透しています。世の中は便利になったけれど、コスパやタイパなど合理化・効率化・スピード化の合理性が優先され、「自分らしさ」「人間性」などが置き去りになっています。
「自分らしさ」を置き去りにする合理化の4つの要素
リッツァによれば、「マクドナルド化」の概念を支える、ファストフード・レストランには次の4つの特徴・要素があるということ。その4つのそれぞれの要素・特徴がファストフード・レストランを飛び越えて、さまざまな社会的場面に広がりをみせ、その広がりにより、「自分らしさ」は置き去りになっています。
4つの特徴はこちらのサイトから引用します。
■効率性(スピードと低価格)
ここで言う効率性とは、「目標に対して最良の手段を追求すること」という意味で使われています。
マクドナルドは生産過程を簡素化し、商品の単純化を図ることによって、消費者の空腹を満腹にする目標に対して、最良の手段を追求しました。例えば、マクドナルドでは、調理方法がマニュアル化されていたり、車を降りなくても注文できるドライブスルーを取り入れたり、商品の種類を限定して、客が選択する手間を省きました。
また、マクドナルドは、お客に働かせることにより、効率化をさらに実現させました。お客は注文するためにカウンターまで行き、席の確保やゴミの処分も客自身で行わせることにより、効率化したのです。
効率性とは、目標やタスクの達成のために、合理的な手段と方法を取り、時間、労働、コストを最小限にしてサービスを提供。流れ作業で調理時間を短縮、セルフサービス導入などの生産過程の短縮。メニューの選択肢を限定など商品の短縮化。カウンターでの注文、席の確保やゴミの処分も客にさせるなど。
このようなファストフード・レストランの効率性が、次にさまざまな社会的場面へと広がっていきます。こちらのサイトから事例を引用します。
【マクドナルド化とは】その意味からデメリットまでわかりやすく解説|リベラルアーツガイド
https://liberal-arts-guide.com/mcdonaldization/「マクドナルド化(McDonaldization)」とは、マクドナルドのような合理的な生産と消費が外食産業のみならず、現代社会の生活に浸透していることを説明する概念です。提唱者のリッツァは4つの鍵となる要素を主張しましたが、この記事ではそれらの要素をわかりやすく説明しています。
効率性のいくつかの事例
購買効率を高めるデパートやコンビニの登場
インターネット販売による購買の効率化
マークシートに代表される教育の効率化(マック大学)
軽度の裂傷と緊急外来センターなどの区分に代表される効率化(マック病院)
効率性を重視した環境の中では、従業員ひとりひとりの個性や「自分らしさ」は不要です。
■計算可能性(数量化)
マクドナルド化した社会では、販売される商品の量、また商品を手にするまでにかかる時間を計算できることを重視します。
例えば「ビッグ」や「ダブル」などの言葉を用い、質よりも量によってその商品の価値が計算し、値打ちのある消費をしたと思い込ませます。これと同時に、商品を作る従業員も、質にこだわるより、いかに早く多くの量の商品を生産できるかを重視しています。
顧客は、商品サービスを、どれだけの量をどれだけのスピードで手に入れられるかで商品の価値を計算し、値打ちある消費したと思い込む。
計算可能性とは、「質より量」を重視し、計算ができない味や作業の質より、どれだけの量をどれだけ早く出せるかが重視するために、「生産とサービスの数値化(商品の分量と費用、商品入手までの時間)」を行います。
計算可能性のいくつかの事例を紹介します。
「質より量」
マクドナルドは質より胃袋(量)を満たすための場所
高等教育ではGPAといった計算可能な(量的)指標が用いられる
テレビ番組では番組の内容よりも視聴率(量)が重視される
「生産とサービスの数値化」
マクドナルドでは質的にではなく、量的に業績が評価される
労働者は作業の質ではなく、一日の作業時間(量)によって評価される
どれだけの作業時間(量)で仕事が評価されるということは、その人の努力や頑張りといった作業の質は評価されません。つまり、従業員それぞれの「自分らしさ」は評価の対象にならないということです。
■予測可能性(機械化・規格化・技術依存)
消費者にとってマクドナルドの商品及びサービスはどの店舗でも均一であり、予測可能であることです。また従業員も予測可能であるマニュアル化された業務やサービスを行うことを義務付けられています。お客はどのようなサービスを受けられるかあらかじめ予測できるものに対しては、安心して享受しようとする傾向があります。従業員側から見ても、仕事が楽になり、迷いなく効率的に作業できます。実際、予測可能で繰り返しの多い作業を好む店員も多いのです。
顧客にとって、世界中、日本全国どこでもいつでもどの従業員からも、同じサービスを受けられるという予測可能性が重視される。そのために、サービスを均一に規格化し、調理やサービス提供方法を標準化し、そのために機械化を導入し、安定したサービス提供のために技術依存度が増します。
このような予測可能性の、ファストフード・レストラン以外の事例です。
ショッピングセンターで何を買うことができるか、という予測の可能性
遊園地は安全な空間と予測される(社会から提供される予測可能性)
予測可能性で強調される点は、時間、場所、規律がすべて画一化されて、ある程度予測が可能になることです。
従業員のやる気や人柄など個性や、その人の工夫やサービス質などは排除されるので、「自分らしさ」は無視されます。
■制御(コントロール)
商品を手に入れるために並ぶ行列、選択の余地のないメニュー、座り心地の悪い椅子、客自身が後片付けをすることなど消費者に対しての制御がされています。また、従業員には厳密なマニュアルがあり、教えられた通り正確に、ごく限られた業務をするように訓練されています。
マクドナルド化によって、従業員と顧客ともに行動を標準化され、コントロール制御されます。
マニュアル化された労働制御(非人格的な定型の作業・形式化)とともに、消費制御(消費行動や購買方法のパターン化など)、制御(コントロール)のためのマニュアル化・機械的技術の導入は、脱人間化をすることを意味します。
制御のいくつかの事例です。
マクドナルドでは、人間を機械化することでエラーをなくそうと試みる。教育、医療、社会でも同様の試みがされる(人間行動を規定する規則など)。
この考えの根底には、システムを合理化する上で一番の障害は人間である、という考えがあります。そのため、ファストフード・レストランだけでなく社会生活のさまざまな場面で、人間の能力を最小化するための工夫がされます。
この制御(コントロール)が機械化により合理化が進むと、「自分らしさ」だけでなく、人間らしさも最小化されてしまう。もっと恐ろしいのは、システム合理化の障害となる人間は排除するという危険性も出ています。
マクドナルド化する社会の「自分らしさ」を見失う合理性の非合理性
マクドナルドを代表とするファストフード・レストランの原理が、我々の様々な日常生活にも反映されています。日常生活のあらゆる場面で、マクドナルド化する社会の「自分らしさ」を見失う合理性の非合理性がみられます。
■合理性の非合理性とは
リッツァは人間生活がマクドナルド化によってさらに便利になることを全否定してるわけではありません。リッツァが強調している点はマクドナルド化(合理化)の弊害として、人間性の喪失や環境破壊という負の遺産があるということです(これがリッツァのいう「合理性の非合理性」)
その合理性によって、生活がより便利になり、低コストで、全国どこでも安心で、スピーディーなサービスを受けられるメリットはたくさんあります。
でも、合理化による負の遺産、弊害がいたるところに出ています。今、命を脅かすような環境破壊による異常気象や生態系の崩壊。人間性の喪失によるメンタル不調の増加やつながりの欠如。社会の分断による他者への無関心や不寛容、パワハラやネットでの誹謗中傷などなど・・
その合理化の中で、働く従業員としては、様々な非合理な弊害が起き、脱技能化、 非人間化、そして機械化などにより「自分らしさ」を見失っています。
■「自分らしさ」を失う合理化による様々な弊害
その合理性による脱技能化、 非人間化、そして機械化などによって、働く側として「自分らしさ」を失ってしまう弊害をいくつかピックアップします。
●代替可能性
マニュアル化など合理性によって、従業員は作業する手段として扱われることも多いと思います。人が機械のような存在になってしまうのです。マクドナルド化の中では、従業員は、その人の個性や特殊なスキルや高度な知識は必要なく、自ら考えることをやめ、機械のように手順通りに動くことが求められるので、取り替え可能な存在になります。
●働く喜びやモチベーション低下
脱人間化という意味で、お客様とはマニュアルに即した対応だけ、与えられた決まった作業をこなすだけになり、自分らしさを発揮することは評価されない環境と言えます。
その環境では、働く喜びも、何かにチャレンジした達成感も、仕事を通じた成長など期待できず、モチベーションも低下してしまいます。
●管理コントロールされることのストレス
マクドナルド化された合理性のなかでは、機械化、マニュアル化、均一化された中で、自分らしい個性を活かせず、決まっていないことの提案など受け容れられず、逆に評価が下がってしまうこともあります。
そのような個性を活かせず、機械的にコントロールされていると感じてしまう人にとっては 合理的な働く環境は大きなストレスになってしまうかもしれません。
●長時間の作業だけに従事する危険性
マクドナルド化では、質より量が重視されるので、働く時間が長ければ長いほど、収入が大きくなることになります。でも、長時間のマニュアル化された作業を続けていると、自ら考えることは面倒くさくなり、手順通りに動くことしかできなくなる危険性があります。その状態を毎日続けているとロボットに代替される危険性が出てきます。もっと、特殊なスキルや高度な知識が求められる必要が出た時に、やりがいとともに責任のある仕事につけられなくなる危険性も大きくなります。
●人間関係の希薄化
スキルややる気や工夫など、その人らしい個性や人間らしさが評価されない仕事環境では、労働時間の取り合いなども起こりやすく、欠勤や職場変えも日常的に起こるため、
人間関係の希薄化が起こりやすくなっています。パワハラ、他人への不寛容・無関心、ネットでの誹謗中傷などの社会問題にもつながっていると思われます。
こう見ていくと、「マクドナルド化する社会」の合理化の中では、「人間らしさ」や「自分らしさ」が見失われてしまうことが良くわかります。
「脱人間化」を逆手に取り、ピンチをチャンスに変え「自分らしさ」を取り戻す
マクドナルド化する社会の負の遺産「合理性の非合理性」である脱人間性について考えてみました。
でも、今後予測される働く環境の変化によって、その合理性を、「自分らしさ」を失うピンチから、「自分らしさ」を取り戻すチャンスとして捉える考え方をお伝えします。
■仕事のポートフォリオ戦略
ポートフォリオとは、投資で使われる考え方で、異なる金融商品を組み合わせてリスクを分散し、安定したリターンを目指すための戦略。リターンだけでなくリスクを分散させるという側面もあります。
「100年時代の人生戦略ライフシフト」でもポートフォリオ・ワーカーが提示されていましたが、新しい働き方として、仕事もポートフォリオ戦略という考え方があります。
その仕事のポートフォリオ戦略として、仕事をライスワーク、ライクワーク、ライフワークで切り分ける考え方があります。
簡単にその3つをご紹介すると、
ライスワーク(Rice Work) 生活を維持するための働き方
ライクワーク(Like Work) 自分らしい自分の好きなことを仕事にする
ライフワーク(Life Work) 天職。人生を捧げて自分らしいやりたい仕事をする
働く意味は、大きくお金を得るため、自分らしさを表現する、自分の好きなことをする、仕事を通じて成長する、やりがいや生きがいを持つ、良い仲間と働くなど、様々な要素があります。
でも、それぞれのリターンを一つで実現することはとても難しいです。
特に、現実的は、お金を得るために仕事をして、時間的な拘束や精神的なストレスで日々疲弊してしまって、活力資産が目減りしている人も多いかもしれません。
だとすれば、時間や精神的なゆとりを保ちながらライスワーク(Rice Work)をして、早帰りや週末などの時間をライクワークやライフワークに充て「自分らしさ」を発揮していくという戦略です。
働く環境もどんどん変化し、人生のマルチステージ化も加速していくことが予想されていく時代には、この仕事もポートフォリオ戦略のバランスも十分考慮することが大切です。
■人口減少で人手不足が加速し働き手の価値が上がる
リクルートワークス研究所の『「働き手不足1100万人」の衝撃』という本がテレビやネットで話題になりました。https://www.works-i.com/research/books/detail012.html
この本では、急激な人口減少が進み、少子高齢化も加速することから、労働人口がどんどん少なくなり、2040年には「働き手不足1100万人」になり、その労働力の不足による人手不足は、単なる雇用の問題ではなく、介護サービスや宅配便配送や保育などの生活維持サービスの供給が減少していくとの予測。
今、当たり前に享受している生活維持サービスの需要と供給のバランスが崩れるという危機をシミュレーションしています。
急速な人口減少により、2040年には2020年に比べて総人口が1523万人減少し、その94%に当たる1428万人を生産年齢人口の減少が占める。
高齢化が進み、労働の供給者だった人が消費者に変わることで、これから訪れる人手不足は「生活を維持するために必要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という、
生活者の問題としてわれわれの前に現れるのだ。これから訪れる人手不足は「生活を維持するために必要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という、生活者の問題としてわれわれの前に現れる。
この本では、その解決策として、徹底的な機械化・自動化、シニアの小さな活動による労働の補助、企業のムダ改革とサポート、とともにワーキッシュアクトという選択肢を提案しています。
ワーキッシュアクトとは、本業の仕事以外の活動で、誰かの困りごとの役に立つ活動のこと。
需要と供給の関係で言えば、ひとりでいくつかの仕事を請け負う時代が来るかもしれない時代です。
人手不足が加速すれば、企業も社会的にも「生活維持サービス」の維持のために相応の処遇をしていくはずです。
今の単なる雇用ではなく、労働提供者としての働き手の価値が上がることが予想されます。つまり、自分らしい働き方の選択肢も増えるはずです。
■人手不足でライスワークの処遇が改善され合理化のピンチをチャンスに変える
この表に示したように、ライスワーク(お金を得るための仕事)も、今後、労働の需要と供給から考えれば、働く側のより良い選択肢が増えていきます。
人手不足が加速し、従業員への待遇がよく、時間拘束やストレスがない仕事を選びやすくなることが予測されます。
・効率性(スピードと低価格)
仕事がマニュアルで決まっているのでとても難しい訳ではない
セルフサービス化などで作業が少ない仕事を選ぶ。
・計算可能性(数量化)
ベルトコンベアーのような作業量の多くないゆったりした仕事で、できる限り作業時間を投入できればそれだけ収入が増える
・予測可能性(機械化・規格化・技術依存)
イレギュラーも定型化されていてあたふたしないで済む、役割や責任範囲が明確な仕事を選ぶ。
・制御(コントロール)
代替されやすいということは雇われやすいということでもある
よい処遇の仕事を選択し、時間や精神的なゆとりを保ちながらライスワーク(Rice Work)をして、空いた時間をライクワークやライフワークに充てる。
「マクドナルド化社会」の脱人間化による「自分らしさ」を失うピンチを、「自分らしさ」を取り戻すチャンスに変える好機と言えます。
まとめ
「マクドナルド化する社会」の脱人間化を逆手にとって、「自分らしさ」を取り戻す対策として、
人手不足が加速している中で、ライスワーク(お金を得るための仕事)と割り切り、よい処遇の仕事を選択し、時間や精神的なゆとりを保ちながら、空いた時間でライクワークやライフワークに充て、「自分らしさ」を取り戻すという考え方をお伝えしました。
そうはいっても、まだまだ雇用環境は厳しい面があります。でも、大切なことは、「マクドナルド化する社会」の合理主義に100%どっぷりつかってしまい、「人間らしさ」「自分らしさ」を見失わないようにすることだと思います。
確実に世の中は変化し、人手不足は加速しています。人手を確保するために魅力ある処遇を提示してくる企業も増えてくるはずです。だから、常にアンテナを張って仕事や求人の動向も見ていくことをおすすめします。
「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。