「老けたくない」
「若く見られたい」
「歳をとった」
・・・
と、自分の老い、加齢を気にする人も多く、40代では実年齢より老けて見えると感じる人が増え、20代から年を取ることに抵抗を感じる人もいるようです。
見た目はもちろん、体力の低下、気力の低下など、加齢に伴って老化を気にする。
でも、加齢と老化は違うもので、生まれてからの年数である「実年齢」と、身体の老化の程度を表す「生物学的年齢」は異なると言われています。
老化に関する様々な研究がなされていて、老化の速度は人によってまちまちで、20代から老化は始まると言われています。でも、その老化の速度は生活習慣や生活環境を意識することで、コントロールできるということがわかってきました。
同じ年齢なのに、いつまでも若々しい人と、明らかに老けてしまう人には、理由があるのです。見た目、体力、気力、認知機能など老化をどうコントロールするかは、人生100年時代の長い老後をどう快適に過ごすか、健康にも幸福にも、社会活動にも大きな影響を持ちます。
今回は、老化と老化の速度に関して、フォーカスしてみます。
20代から「歳をとった」「老けた」と老化を意識し始める
「歳をとった」「老けた」と老化を意識し始めるのは、何歳からでしょうか?
こちらの記事では、「歳をとった」と感じ始めたのは「40~44歳」が最多で、体力の衰え、見た目の変化とともに、メンタル的な要素も大きいようです。でも、20代も30代もそれぞれの事情で「歳をとった」と感じるようです。
40代の男女200人に「自分が”歳を取った”と感じ始めた年齢」や歳を取ったと感じた”きっかけ”について聞きました!
https://shufufu.jp/15129/株式会社しんげんが運営する主婦向けの情報メディア「SHUFUFU」は、「歳」に関するアンケート調査を実施しました。その結果を公表します。調査概要調査方法:インターネット調査調査機関:自社調査調査人数:男女200人対象者 :40代の人調査性別
■自分が歳を取った(老いた)と感じ始めた年齢は40代前半が最多
こちらの調査結果では、30代後半から40代後半にかけて多いという結果です。
「自分が歳を取った(老いた)と感じ始めた年齢」は、「40~44歳」(44.5%)が最多となりました。次いで「35~39歳」(26.0%)、「45~49歳」(16.0%)が続き、30代後半から40代後半にかけて年齢を感じる人が多いことが見て取れました。
「自分が歳を取った(老いた)と感じる」こととして、こちらのアンケートでは、
1位 体力が衰えた66%
2位 白髪が増えた64%
3位 しわが増えた36.5%
4位 視力が衰えた32%
5位 記憶力が衰えた30.5%
と見た目や肉体的な要因で、自分が歳を取った(老いた)と感じ始めた人が多いようです。
■働く女性のアンケートでは20代30代から「老いを感じる」
こちらの働く女性20代30代のアンケート調査では、64.9%が「自分、老けたな」と感じると回答。最も多かったのは「30歳のとき」。
【働く女性のマインド調査】働く女性の「老いを感じた瞬間」第1位は 「活躍している芸能人が自分より年下だった」 ~ 働く女性の【「自分、老けたな…」あるある】は?~|「マイナビウーマン」
https://woman.mynavi.jp/pr/170913/株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:中川信行)が運営する社会人女性向け情報サイト『マイナビウーマン』(https://woman.mynavi.jp)は、「働く女性のマインド調査」(1ページ目)
こちらの調査では、20代30代が老いを感じるのは、見た目や肉体的な衰えとは少し違うようです。
働く女性の「老いを感じた瞬間」は、「活躍している芸能人が自分より年下だった(27.1%)」「自分より年下の子の言動を見ると若いな~とぼやいてしまった(25.2%)」「油ものがキツくなった(21.4%)」
肉体的な衰え、見た目の衰えで老いを感じる40代前後と比べると、20代・30代では、「老い」の関しての捉え方が違うようです。こちらの調査まとめにあるように、
「これ使っていると”若い”かしら?もう30代なのに大人として”痛い”のでは?」という不安。“老い”というより、大人の女性としての“何らかのプレッシャー”を感じるのが30歳という年齢なのかもしれません。
「老いを感じる」と言っても20代30代では、若い時代からの分岐点として、大人の女性としてのプレッシャーを感じ始める年代なのかもしれません。
「老けたくない」「若く見られたい」老化に抵抗を感じ若々しさを志向する人が増加
見た目の変化や肉体的な衰えなど、大人の女性としてのプレッシャーなど、様々な年代の人が、様々な要因で老いを感じていることがわかりました。老いを感じながら、「老けたくない」「若く見られたい」と老化に抵抗を感じ、若々しさを志向する人が増加しているようです。
■20代から「老けたくない」66.8%が年を取ることに抵抗を感じる
こちらの記事から引用します。
【dポイントクラブ】いつまでも若々しい自分でいたい!みんなのエイジングケアの方法を聞いてみた|dポイントクラブアンケート
https://dpoint.docomo.ne.jp/enq/guide/research/research20220531.htmlいつまでも若々しい自分でいたい!みんなのエイジングケアの方法を聞いてみた。アンケートに答えるとdポイントがたまる!「dポイントクラブ」は、誰でも入会できる入会金・年会費無料のおトクなポイントプログラムです。
こちらの15-69歳を対象にしたエイジングケアのアンケートでは、6割以上の人が「歳をとること」に抵抗を感じるようです。
「あなたは年をとることについて、抵抗を感じますか?」という質問をしたところ、66.8%が抵抗を感じていることが分かりました。
このアンケートでは、20代を過ぎた頃から年齢による見た目や体の変化を意識し始める方が増えはじめ、40代前半になると最も加齢に対する意識が高まることも分かりました。
年代によって、年をとることの悩みが違うようです。
20代は「肌のくすみ・乾燥」や「化粧ノリ」、
30代は「加齢臭」
50代以降になると「白髪」
の悩みが、他の年代と比べて目立つ傾向にありました。このように年齢を重ねていく過程で、加齢を感じはじめる部分や悩みは変化していくことが分かります。
■女性だけでなく男性も若々しさを志向する
こちらの記事から引用します。
見た目の若々しさに関心8割以上 5割以上の人が実年齢より5歳以上若く見られたい
https://www.asahi.com/relife/article/14586118最近の研究で、見た目が若い人の方が長生きするとわかってきています。今年2月に朝日新聞Reライフプロジェクトが実施したアンケートでは、美容や見た目に関心がある人が8割を超えました。7割以上の人が「実年齢よりも若く見られたい」と考え、5歳以上若く見られたいと思っている人が5割以上を占めました。外見の老化のスピードを抑えるには、気持ちのもちようが大切だという意見も多く寄せられました。多くのみなさんが見た目の若々しさと健康や内面がつながっていると考え、日々を活動的に過ごそうとしている様子が伝わってきました。
7割以上の人が「実年齢よりも若く見られたい」と考え、5歳以上若く見られたいと思っている人が5割以上を占めました。外見の老化のスピードを抑えるには、気持ちの持ちようが大切だという意見も多数寄せられました。多くの方が見た目の若々しさと健康や内面がつながっていると考え、日々を前向きに過ごそうとしている様子が伝わってきました。
NTTアド(東京都品川区)が行った「第2回『見た目年齢』に関する調査」
https://www.ntt-ad.co.jp/news/20111221/20111221.pdf
によると、「実年齢より若く見られたい」と考えている男性はおよそ半数に上り、3年前に行った調査と比べて約12ポイント増加。女性は実年齢よりも平均で「-4.8歳」、男性は平均で「-3.5歳」実年齢より若く見られたいという結果。
女性だけでなく、男性も若々しさを志向することがわかります。
若さを感じられる対策としては、実践者が多い「スキンケア商品の使用(顔)」「健康食品・サプリメントの摂取」、あまり効果を感じられていないという回答。実践者が少ない「やりがい・趣味を持つ」「ウォーキング・ジョギング」「筋力トレーニング」は効果を実感している人が多いようです。
とても興味ある結果です。
ペース・オブ・エイジング(Pace of Aging「PoA」)老化の速度は人によって違う
最近、老化の研究が盛んになり、加齢と老化の違い、老化の速度は人それぞれであり、同じ年齢でも老化にかなりの幅があることがわかっています。この老化の速度はある年齢になると加速することも研究で分かっています。
■加齢と老化の違い
老化の速度について考えていくときに、加齢と老化の違いをしっかり理解した方がよさそうです。
なんとなく、加齢と老化を同じようにとらえている人も多いので意識して違いを理解しましょう。
こちらのサイトから引用します。
健康長寿を実現するにはどうしたらいいか、主に実験動物を使って生物学的老化メカニズムや老化介入の研究をしてきました。こうした研究を通じて高齢者に関わる問題が少しでも改善されることを願っています。
通常、“加齢”とは、ヒトやネズミでは生まれてから死までの物理的な時間経過のことで、ハエやセンチュウ(“老化モデル動物”の項参照)では成虫になってから死ぬまでの時間経過を指します。
“老化”とは加齢に伴って生体機能、例えば筋力、神経伝導速度、肺活量、病気に対する抵抗力などが低下することです。
生まれてからの年数である「実年齢」と、身体の老化の程度を表す「生物学的年齢」は異なります。
加齢は単に年齢が増えることを指します。「実年齢」や「暦年齢」と言われています。この加齢は誰でも平等に訪れるもの。実際の年齢はうそを受けないということです。
それに対して、老化とは加齢に伴って身体や精神の機能が低下すること、「生物学的年齢」とも言われます。この老化の速度は人によってかなり大きな違いができ、生活習慣や環境によって大きく影響されます。
老化は速度も老化の程度も人それぞれ、同じ年齢でも若々しいひともいれば老いて見える人もいるということです。しかも、老化の速度は、遺伝より生活習慣や生活環境によって大きく影響するということ。「老けたくない」「若く見られたい」なら、意識して老化の速度をコントロールしていくことが重要です。
■「ペース・オブ・エイジング(Pace of Aging「PoA」)」老化が進む速さは人によって違う
「PoA」とは「Pace of Aging(ペース・オブ・エイジング)」の略称で、老化の速度のことを指します。2000年になって、この「PoA」に関する研究が増加し様々な研究が報告されています。
こちらのサイトから引用します。
①人によって老化の速度が違う
「PoA」に関する研究の中でも、2021年にアメリカのデューク大学が発表した論文で、人によって老化の速度が違うという内容が大きな注目を集めました。この論文は、ニュージーランド南島のダニーデン市にある病院で、1972〜1973年にかけて生まれた1037人を対象に行われた研究で、ダニーデン研究とよばれています。
内容は、26〜45歳までの「腎臓・肝臓・肺・代謝・免疫系の機能」「歯の健康」「コレステロール」「心肺の状態」「肺機能」などについて、20年間で4回測定(全ての測定に参加できたのは955人)。それらの結果から、1年間の間にどれくらいの速度で生物学的年齢が進んだかを数値化したところ、1年に0.4年しか老化していない人がいる一方、最も老化速度が速い人では年に2.44年も老化が進んでいることがわかりました。
老化の速度が人によって違う結果。1年に0.4年しか老化していない老化の速度が緩やかな人がいる一方で、最も老化速度が速い人では年に2.44年も老化が進んでいる。老化速度に大きな違いが出ています。
②同じ年齢でも老化に幅広い差がある
米国のデューク大学加齢研究センターのダン・ベルスキー氏、テリー・モフィット氏らの研究チームは、前出①で紹介したダニーデン研究に参加した2011年時点で38歳だった954人の男女を対象に追跡調査を実施。18種類のバイオマーカーを調べ、参加者の腎臓、肝臓、肺機能、代謝および免疫系の機能、HDLコレステロール、心肺フィットネスなどの老化プロセスを調査しました。
これらのバイオメーカーに基づき、38歳の研究参加者を30〜60歳までに分類する「生物年齢」を設定したところ、参加者の生物年齢に幅広い差があることが分かったのです(米国科学アカデミー紀要「PNAS」/2019年12月発行号に掲載)。ほとんどの人が暦年齢の±2〜3歳以内でしたが、年齢以上に若さを維持している人、もしくは老化している人がいたほか、暦年齢は38歳でも生物年齢が50歳を超えている人もいました。
この研究では、同じ年齢でも老化速度の差は6倍という結果。同じ38歳でも、「生物年齢」は28〜61歳まで分布していたようです。「暦年齢」以上に「生物年齢」の若さを維持している人、老化している人がいるという結果。①の老化の速度の裏返しで、生活習慣や生活環境によって老化の程度も違うことがわかります。
③「見た目」の年齢・老けて見える人ほど死亡リスクが高い
デンマーク大学で老化医学を専門としているユーア・クリステンセン教授のグループが発表した研究報告。
この研究では、70歳以上のデンマーク人1,826人双子を対象に実施。2001年に身体的検査と認知力検査、写真も撮影。写真を41人の男女(看護師20人、教育実習生10人、老年女性11人)に見せて、何歳くらいの年齢に見えるか「見た目」を推定してもらう。7年後の2008年に、2001年に写真を撮影した双子の「見た目」と生存状況を調査。
2001年の調査で「老けて見えた人たち」で、死亡率は「若く見えた人」の1.9倍と発表しています。また、「見た目」の年齢の違いが大きいほど、老けて見えた双子の片方が早く亡くなっていることも分かりました。
恐らく、「見た目」で老けて見えた人たちは、身体の老化や気持ちの老化、活力なども衰え、結果として老化の速度も速く、見た目にも影響しているのだと予測できます。
常に「見た目」を気にして、自分の老化の状態を観察し、意識することはとても大切なことだと思います。
④「老化の速度のピーク」は特定の時期に急速に進行する
世界的権威のある生物医学ジャーナル誌「Nature Medicine」が2019年12月に掲載した論文、「老化の速度のピーク」特定の時期に急速に進行するという内容は、様々な老化の速度の研究の中で、とてもインパクトがありました。
「ヒトには、34歳、60歳、78歳で、老化に関係するタンパク質が多くなる」
老化の速度に影響が大きい老化たんぱく質は、一定期間では、同じレベルを保ち、特定の年齢で突然上下に変動しているこの老化たんぱく質は、一定の年齢期間では同じレベルで、特定の時期に急速に進行する、そのピークは34歳、60歳、78歳に来るそうです。
老化たんぱく質で見ると、特定の年齢で老化の速度のペースを速めるという結果は、良く今まで元気だった人が、突然「急に元気がなくなった」「急に老けた」と言われることに関連してるのだと予想されます。
また、最新のアメリカの研究では、「老化の速度のピーク」が「44歳頃」と「60歳頃」という研究結果も出ています。
人間の老化は「44歳頃」と「60歳頃」の2回に分けて劇的に進むと判明
https://gigazine.net/news/20240815-human-age-dramatically-in-two-bursts/人は年を取るとしわが増えたり、体の節々に痛みを感じたり、突然体の具合がよくなくなったりすることで老いを実感します。スタンフォード大学の研究チームが、「人間は一定の割合で徐々に老いるのではなく、人生で急激に老化が進むポイントが2回存在する」という研究結果を発表しました。
人はゆっくり老いるにあらず 44歳と60歳前後の2期に加齢変化が集中 米研究で判明
https://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/2408/16/news125.html人の老化は漸次進むのではなく、44歳、60歳前後の2期に加齢変化が集中するという研究結果が、14日にオンライン科学誌「ネイチャー・エイジング」で発表された。
老化の速度をコントロールするスローエイジング
「老けたくない」「若く見られたい」という人にとても重要なポイントが、老化の速度はコントロールできるということ。様々な老加速度の研究で、老化の速度は遺伝より、生活環境や生活習慣の影響が大きいということがわかっています。
つまり、意識して、老化の速度に影響を与える生活環境や生活習慣をコントロールすることで、
老化の速度は変えられるといううれしい研究結果です。
■老化の速度は遺伝より生活環境に大きく影響を受ける
こちらの記事から引用します。
人生100歳時代に必須 「老化」時計を遅らせる新研究 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXZQOLM010UX0R00C22A3000000/人によって老化速度にはかなり差があることがわかってきた。高齢になってからではなく、なるべく早く、若いうちに自分の老化を進めるリスク因子を知って対策を始めるほど、寿命が延び、生活も豊かなものになる――。これを裏付けるデータ、自分の老化ペースを知る検査、老化を制御する技術が登場している。老化制御のサイエンスは、世界で最も高齢化が進む日本の未来を変える起爆剤になるかもしれない。これからの人生を豊かにするスローエイジングの世界を見ていこう。
日本抗加齢医学会理事長で、老化時計を研究する近畿大学アンチエイジングセンターの山田秀和教授はこういう。「これまでの研究から、寿命には7割程度生活環境因子が影響すると考えられる。そこで、老化時計で自分の老化ペースを知り、食事、運動、メンタルなどの生活環境因子を変えることで老化を抑制しようとする研究が日進月歩で進んでいる。世界で最も高齢化が進んでいる日本にとって、元気な高齢者を増やすためにもこうした研究は重要だが、それ以上に、人口が減り続けている若い世代がこうした科学技術の恩恵を受け、健康で活動的に生きる年月を延ばすことができたら、希望のある未来像が描けるし、消費市場の活性化も見込めるだろう」。
老化の速度は遺伝的要因が2~3割、7~8割は生活環境要因が影響。老化の進行速度は、意識して生活環境を変えていくことでコントロールできるということ。食事をしっかり食べ、適度に運動し、質のいい睡眠をとって、ストレスをためないバランスのいい生活を送ることが何より大切。
つまり、生活習慣や生活環境によって老化速度は変えられるということです。食事や運動、睡眠習慣、周辺環境などによって自分でコントロールが可能で、未来の自分は自分次第というのが注目すべきポイントです。
■人生100年時代の健康長寿のために老化の速度のコントロールするスローエイジング
人生100年時代と言われ始めています。長い老後をどのように過ごすことができるか。寝たきりにならず健康寿命を延ばすために、老化の速度のペースを緩やかに下げるスローエイジングという考え方も広がっています。
スローエイジングとは、老化の速度を遅らせること。生物学的年齢(老化)を遅らせて若い身体と心を維持すれば、病気の発症を抑えられると考えられています。
「スローエイジング」こそが人生を豊かにする | DIET&BEAUTY
https://www.kenko-media.com/dietandbeauty/archives/972北里大学名誉教授/医師 NPO 法人アンチエイジングネットワーク理事長 塩谷 信幸氏 世界に先駆け高齢化が進む日本の美容・健康産業界では、ますます「アンチエイジング」がキーワードとしてクローズアップされています。アンチエイジング医学の第一人者である塩谷信幸氏に、老化やアンチエイジングの現状や、同氏が提唱するスローエイジングについて聞いた。 ●アンチエイジング分野では老化の原因はどう考えられているの
そこで、考えたのは、「スローエイジング」です。身体と精神的な年齢を合わせた生物学的年齢(バイオロジカルエイジ)に注目し老化を遅らせることで、出来るだけ暦年齢より若い身体と心を獲得することです。国内外の老化についての研究結果から、これまで避けられないとされていた老人特有の病は、老人だから罹患したととらえるべきでないと考えられるようになってきました。身体の処理能力をできるだけ落とさなければ病気の発症を抑えられる、つまりスローエイジングです。
100年の寿命は普通という時代になりつつある今、健康にいきいきと過ごせなければ、長寿であっても必ずしも幸せとは言えない。サルコペニア、がん、認知症など老化によって発症リスクが高まる疾患は多い。老化ペースを緩やかにすることができれば、こうした加齢性疾患の発症低下につながる。老化は加齢に伴う自然現象ではなく、病であるとみなされるようになってきています。
自分の老化スピードとそのペースを速めている原因がわかれば、スローエイジングのための手を打つことが可能になるかもしれません。
■若い時期からこそ老化の速度をコントロールするメリット
老化の速度を緩めコントロールするのは、若いうちからこそより効果が高い結果が出ています。
■①老化は20代から始まっている
“老化”とは加齢に伴って生体機能、例えば筋力、神経伝導速度、肺活量、病気に対する抵抗力などが低下することです。 年齢にともなうこのような機能低下は、一般に生殖年齢に達したあとに始まり、人によって早い遅いはありますが誰にでも起こります。ヒトでは20歳から30歳以降に始まります。注意していただきたいのは「老化は病気ではない」ということです。別項で説明する老化関連疾患あるいは老年病は生物学的な老化が背景にある場合が多いと考えられます。 実際、動脈硬化症、骨粗しょう症、糖尿病、認知症などの老化関連疾患の最大の危険因子(リスクファクター)は「加齢」であるとしばしば言われます(正確には「生物学的老化」と言うべき)。
老化速度のピークの一回目が34歳前後と言われているように老化たんぱく質の発現は20代から始まると考えられます。だから、20代、30代から老化タンパク質の発現を抑えるため、ペース・オブ・エイジング(PoA)をゆるやかにする対策をとることが重要です。
②20代からの老化の速度を緩めるスローエイジングの恩恵
なるべく早く若いうちに、20代のうちに、老化ペースを緩やかにする生活を始めるほど平均余命に違いが出る研究が発表されました。
その研究は、世界中の国々の疾病・傷害とそのリスク要因をまとめた「世界の疾病負荷研究(Global Burden of Disease Study)2019年版」と、食事が死亡率に与える影響を分析した多くの研究を、「統合解析して評価している」もの。それだけこの研究結果の信頼度は高いと考えられます。
砂糖入り飲料、精製穀物、赤身肉、加工肉などが多い「西洋型の食事」から、豆類、全粒穀物、魚、果物、野菜が多い「健康的な食生活」に変える時期が早ければ早いほど、平均余命が伸びるという結果に(下図)。20歳で西洋式食事から最適な食事に変更すれば、女性で10.7年、男性で13.0年平均余命が延長する可能性があり、食品別では、豆類や全粒穀物の摂取量を増やす効果が大きかった。
20歳で「西洋型の食事」から最適な食事に変更すれば、女性で10.7年、男性で13.0年平均余命が延長する可能性。食の重要性がとてもに認識できます。
老化の速度をコントロールする方法
老化の速度をコントロールするために、どのように生活習慣や生活環境を送ればいいか、その方法について、ピックアップしていきます。
■身体の老化の速度をコントロールする
①食事
動物実験では摂取カロリーによる生体機能の老化はかなり以前から知られています。
自由摂食動物に比べてカロリー制限(30-40%)動物の寿命が40-50%延長し、がんなどの加齢関連疾患の発症や生体機能の低下が遅くなることは半世紀以上前から知られています。
上記の、[2]PLoS Med. 2022 Feb 8;19(2):e1003889.によれば、摂取する食品をコントロールする(最適化)する年齢が、20代の早ければ早い年齢ほど平均余命に影響することが研究で判明しています。
砂糖入り飲料、精製穀物、赤身肉、加工肉などが多い「西洋型の食事」から、豆類、全粒穀物、魚、果物、野菜が多い「健康的な食生活」に変えることで老化に大きな影響が出ます。
②運動習慣・身体活動
運動が老化防止に対して効果があることは知られており、またそうした効果は多くの病気において治療法のひとつとして利用されています。反対に、運動をしないことは老化や病気の原因となります。
運動には老化防止効果があるのか?運動機能の低下や高齢者の運動習慣、最新研究について解説|NOMON公式サイト|LIFE IS LONG.
https://life-is-long.com/article/7220人は誰でも老いを避けられませんが、「運動」は老化防止に役立つ方法のひとつです。「若い頃はもっと運動していたのだけど……」という方も、今より先…
運動習慣のある人とそうでない人を比べた複数の研究によって、運動習慣のある人は末梢組織での細胞老化を示す指標が出にくいことがわかっており、同様の結果が動物実験でも示されています。
また、活性酸素と老化は密接な関係があり、運動は活性酸素の減らし老化の速度も遅らせるようです。
活性酸素によって酸化を抑えることを、抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言います。体内で増えた活性酸素を除去していくことが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になります。本頁では、抗酸化による老化防止の効果、抗酸化物質(ビタミンA・ビタミンC・ビタミンE・コエンザイムQなど)、抗酸化物質の摂取方法について解説します。
私たちの体は酸素を利用してエネルギーを作りだしていますが、酸素を利用すると同時に活性酸素は常に体内で生じています。この活性酸素が私たちの細胞を傷つけ、被害をもたらしています。活性酸素は老化、がん、シワ、しみ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。
活性酸素を増やさないために、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ、ポリフェノールなどの抗酸化物質の摂取とともに、運動や活発な生活が活性酸素を減らし、老化の速度も遅らせるようです。
不活発な生活では、活性酸素の生産量が増加、炎症にかかる確率が上がり、老化の進行速度は早まります。運動習慣のある活動的な生活をすると活性酸素の生産量は減り、 老化の進行も遅らせることができます。
普段不活発な人が急に激しい運動をすると活性酸素に対する備えが不十分で酸化傷害が大きくなる危険性もあるので、ヨガやジョギングなど緩やかな運動がおすすめのようです。
運動は、寝たきりを促進する運動器障害や転倒などを回避するため、特に女性には必要です。
③良い睡眠
良い睡眠は、心身の疲労を回復する効果や、生活習慣病を予防する効果など、多くの効果があることがわかっています。その睡眠の効果の中で、老化の速度に影響するのが成長ホルモンです。
夜間に十分な睡眠を取ることは、老化防止に効果的であるといわれています。その理由として挙げられるのが、成長ホルモンです。成長ホルモンは眠っている間に分泌量が増えるとされており、子供の成長に必要なホルモンです。成人にとっての成長ホルモンは、骨や筋肉を作る働きがあります。老化を防ぎ若々しく健康な体を維持するために、成長ホルモンが重要な働きをしています。
寝る子は育つというように大人でも、骨折のリスクや筋肉量との関係など、若々しい健康な体を維持するために良い睡眠は欠かせないということです。
④筋肉
老化とは様々な体の働きの低下(機能の低下)と考えれば、生活活動機能と運動機能は切っても切れません。健康寿命を考えていくときに、運動機能低下を示すフレイル、サルコペニアという考え方があります。
フレイルとは「加齢に伴い身体の予備能力が低下して健康障害を起こしやすくなった状態」、サルコペニアとは「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下」と定義されています。
加齢により、サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作ができにくくなり、運動量も運動機能も低下し、転倒しやすくなったります。
疲れやすい、体力がなくなることで益々活動が減るという悪循環が生まれます。
この筋肉量は20代から徐々に減っていくと言われています。特に運動習慣がない女性は、40代からどんどん筋肉量が減少します。
筋肉量筋力の低下を放置していくと老化の速度に大きな影響が出るということです。
老化とは成長期以降に起こる加齢に伴うさまざまな体のはたらきの衰え(機能の低下)といえます。ヒトは20歳頃から細胞が減少しはじめるといわれており、これにより脳の前頭葉や側頭葉の老化が始まると考えられます。シミや白髪など、40歳代から目に見える変化として現れる老化もあります。
■「感情の老化」の速度をコントロールする
感情と脳の老化とは密接に関係しているようです。すぐ怒りっぽくなる人、クレームで暴走化してしまう人など、脳の老化で感情のコントロールが効かなくなる人が多くなります。感情がコントロールできないということは、典型的な脳の老化のサインです。その感情のコントロールは大脳の一部「前頭前野」という部分で行われているようです。
一般に、「歳をとると怒りっぽくなる」といわれますが、昨今、高齢者による暴行や暴言を取り上げる報道をよく見聞きするようになってきました。実際に、傷害及び暴行による高齢者の検挙人数は年々増加傾向にあるといいます。高齢者人口がさらに増加する、世界一の超高齢化社会ニッポンにおいては、「キレる高齢者」は避けられない社会問題になるといえるでしょう。
人間らしい生活を支える高次な働きを司っているのは、おでこのちょうど裏側にある大脳の一部「前頭前野」という部位です。前頭前野は思考や判断力、創造力など重要な働きをしているほか、「感情の抑制」も担っています。
「前頭前野」が衰えてくると「感情の抑制」つまり感情のコントロールが効かなくなるということ。
その「前頭前野」は、20代から衰えてくるようです。
前頭前野の働きは20歳をピークに加齢するにつれて衰えていきます。すると、徐々に「感情の老化」が起こるのです。怒りっぽくなったり、集中力が続かなくなったり。無気力になったり、不安が強くなったりすることもあります。
前頭前野が衰えると「感情の老化」が始まり、感情がコントロールできなくなる。怒りっぽくなるだけでなく、集中力もなくなり、無気力になる。
だから、「感情の老化」を放っておくと、怒りっぽくなり周囲とトラブルを起こしたり、急に元気をなくし外出も面倒になる。外部との関わりが出来なくなり、家にこもることが多くなると、見た目もどんどん老け込んでいく。
その「感情の老化」を担う前頭前野は20歳をピークに衰えていくようなので、要注意です。
■老化と精神状態との関係
「感情の老化」にも関連しますが、孤独や絶望感や不幸感など精神状態によって、老化が加速されるようです。
えっマジで!?孤独と不幸な気持ちはタバコよりも有害、らしい、という調査結果。
https://data.wingarc.com/reasons-to-be-happy-50186長寿大国日本。厚生労働省が発表した2021年のデータによると、男性の平均寿命は81.4 年、女性の平均寿命は87.57年となっています。平均寿命が非常に高い数値で推移する一方、近年注目を集めているのは…
老化に特化した生物医学ジャーナル「Aging-US」に掲載された論文で、老化と精神の関係が発表されました。
絶望感、不幸感、孤独感を感じることが、最も老化を加速させ、その効果は喫煙以上であることが明らかになったのです。
運動の推進や、禁煙をはじめとする生活習慣の改善とともに、老化の加速には精神状態の改善も必須だということ。
これを逆に考えると、毎日幸せな気持ちでいるだけで老化を防げる、ということにもなります。
自分を不幸な気持ちにさせる原因、孤独感を和らげるために何ができるか、不安を生み出すことは何かを見つけ改善していけば、老化の速度をコントロールすることが出来そうです。
■生活環境と老化
老化の加速を防ぐ精神状態の改善に、生活環境を変えることが重要であることが強く感じられます。
変化に富んだ豊かな環境にさらされたマウスの脳ではβアミロイドを分解する活性のあるネプリライシン(「老化が関係する病気 アルツハイマー病」)の活性が高くなったと報告されています。このモデル実験は遺伝的に認知症を起こし易い場合ですらライフスタイルによってそれを軽減できる可能性を示しています。
ラットの実験では、一匹で貧しい(変化のない)環境で飼育されるよりも、広々として変化のある豊かな環境のケージで数匹の仲間と一緒に飼育した方が、脳を若く保つことが出来ることが明らかになっています。
遊びも含めた変化に富んだ生活環境で、仲間と一緒にいること。
社会活動な活動、趣味などの能動的な活動、などに積極的に参加することで、仲間とつながり
孤独にもならず、多くの刺激を受け、脳も活発になるようです。
「絶望感や不幸感や孤独など不安定な精神状態が老化を加速させる」
のだから、絶望感や不幸感や孤独などの精神状態を回避する生活環境がとても大切です。
まとめ
今回は、老化の速度に関してみてきました。
「老けたくない」「若く見られたい」という人にとって、うれしいことは、老化の速度は自分でコントロールできるということ。しかも、20代以降の若いうちから意識して、老化の速度をコントロールすることで、その後、若々しくいられる状態が長く続くということです。
生活習慣、食、生活環境など、意識するかどうかで、老化の速度や寿命にも影響すること、まだまだ、自分には関係ないと不摂生していると急に老化が加速する危険性もあることをしっかり理解することができるはずです。
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