
学ぶ人と学ばない人にどんな差が出てくるのか?
「学ばない日本人」について、リクルートワークス研究所による2018年の全国約5万人調査によれば、日本人社会人の約7割は自己学習せず、しかも年齢を重ねるほどに学ばない傾向があることをお伝えしました。
https://atarashiihatarakikata.com/articles/33
人生100年時代の長い人生の中で、テクノロジーの進化などで人生を取り巻く環境が変化し、働く環境は劇的に変化していきます。
今後、AI革命により技術的失業を回避するためリスキル(学び直し)することが必要な時代に突入。アメリカでは、実際にテック大手企業でAI自動化により人員削減が始まり、遠い世界であった「AIで仕事がなくなる」状況です。
https://atarashiihatarakikata.com/articles/34
日本でも、長く続いた平成の安定した停滞から、持続的な成長へのシフトチェンジが始まり
物価高に対応し賃金を上げていくために、個人も学ぶことが必要になっています。
今回は、変化が激しい時代に突入し、学ぶ人と学ばない人にどんな差が出るのか調べてみました。特に、子どものころからの読書の習慣が大きな差を生んでいます。

変化の流れの中で、学ぶ必要性に気づいていない「学ばない日本人」 | 新しい生き方働き方暮し方ブログ
https://atarashiihatarakikata.com/articles/33リスキルや学び直しなど、学びの必要性が加速的に増している中で、学ばない日本人がとても多いようです。学ばない理由は人それぞれあるようですが、失われた30年の時代背景の中で、学ぶ環境がなく学ぶ必要性も感じずに来てしまっている人も多いと思います。大きな変化の流れの中で、学ぶ必要性に気づくことがとても重要だと感じます。

アメリカでは、「AIで仕事がなくなる」雇用の2極化がはじまっている | 新しい生き方働き方暮し方ブログ
https://atarashiihatarakikata.com/articles/34アメリカでは、アマゾンやフェイスブックなど大手テック企業を中心にして、AI技術の発展によって代替可能な一般事務職などの大規模削減が始まっている。アマゾンCEOなどトップ自身が「AIの広範囲な使用によって事務職の人員が減少が予想される」と明言。「AIで仕事がなくなる」時代に突入したと言えます。 それに対し、AIエンジニアの争奪戦も激化し、AIの発展による雇用の2極化も始まっています。
子どもの頃の読書活動は、大人になっての豊かな人生への第一歩
子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究 報告書〔概要〕 -子どもの頃の読書活動は、豊かな人生への第一歩!-
https://koueki.net/user/niye/110317492-1.pdf
この平成25年2月23日の国立青少年教育振興機構の調査では、子どもの頃に読書活動が多い成人ほど、
・「未来志向」将来の目標がある、人生設計や生き方に役立つ情報を積極的に収集している
・「社会性」 社会のルールは守る、友達に相談されることがよくある
・「自己肯定感」自分のことが好き、人生を主体的に送っている
・「意欲・関心」なんでもチャレンジしてみたい、なんでも最後までやり遂げたい
・「文化的作法・教養」年中行事が楽しみ、昔話が話せる
・「市民性」すべての選挙で投票を行う、政治に関する報道を閲覧・視聴する
その意識・能力のすべてで高い結果になっています。
子どもの頃の読書活動を通じて学ぶか、学ばないかによって、
「未来志向」「社会性」「自己肯定感」「意欲・関心」「文化的作法・教養」「市民性」
全てに大きな差が出る。
これらが、大人になってどれだけプラスに働くか、マイナスに働くか一目瞭然です。
まさしく、子どもの頃の読書活動は、大人になっての豊かな人生への第一歩です。
子どもの頃の読書活動が大人になって非認知能力、認知能力ともに影響
国立青少年教育振興機構が2021年3月「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」を発表。
https://www.niye.go.jp/pdf/210811_02.pdf
全国の20~60代の男女5000人を対象に、子どもの頃の読書活動が大人になってからの意識・非認知能力に与える影響を考察しています。
子どもの頃(小学校高学年、中学校、高校)の読書量が多い人は、そうでない人よりも意識・
非認知能力や認知機能が高い傾向があることが判明しています。
グローバル化が進み、AIなどテクノロジーの加速で、先行きが見えず変化の激しいVUCA時代。
これらの非認知能力は、不透明な環境で、自分自身で人生を切り拓いていくのに必須の能力です。
・自己理解力:「今の自分が好きだ」「自分には自分らしさがある」など自己肯定感を包含
・批判的思考力:「ものごとを順序立てて考えることが得意だ」など客観的、多面的、論理的に考え
る力、自分あるいは他者の意見をまとめる力、コミュニケーション力を包含
・主体的行動力:「分からないことはそのままにしないで調べる」など何事にも進んで取り組む
姿勢や意欲
子どもの頃の読書活動の充実が、大人になって意識・非認知能力を高めること、40代・50代では、
直接的な関連性とともに、20代・30代での読書活動の充実を通じて現在の意識・非認知能力を高めることを示しています。
認知機能は学習の土台であり、学力にも大きな影響を持ちます。
記憶力、注意力、判断力、問題解決力、言語理解などが含まれます。
私たちが何かを見たり聞いたりして、それを理解・解釈し、反応するまでのすべてのプロセスが認知能力に関係しています。
物語の没入体験は他者への理解も深める
読書は社会性の向上に寄与するか?―物語読書量とマインドリーディングとの関連の検討―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/57/0/57_598/_pdf/-char/ja
この論文では、物語の読書量と他者の意識状態や意図、思考などを理解する能力(マインドリーディング)の関係について検討し、物語の読書量とマインドリーディングの関連を検討した結果、正の関連があることを報告しています。
成人では、物語の読書量が、物語への没入を体験する傾向を高め、物語への没入体験はマインドリーディングと関連する傾向。この物語を読み、没入する体験が、実際の対人的行動に効果を持つ可能性を示しています。
マインドリーディングとは、人の心の中を読む技術のこと。外見やしぐさ、行動や言葉に、
これらの情報を観察し、分析し、推測することで、相手の感情や考えを理解することができます。
多様で複雑になっている現代人の人間関係を円滑にし、コミュニケーション、交渉、良好な関係構築、会社内・取引先・プライベートでもさまざまな場面で役立つスキルです。
読書量による自己理解力が、自己肯定感を高め「生きずらさ」を和らげる
小中高時代の読書活動に関する体験が成人後の自己認識等に与える影響
https://u-gakugei.repo.nii.ac.jp/records/2000763
日本人は、自己肯定感が低く、それが「生きづらさ」を抱えている要因になっていると言われています。
自己肯定感を高めるために、大人世代を含めた自尊感情や自己肯定を含む自己理解力の向上がまず必要で,その土台が出来てこそ,若者に蔓延する「生きづらさ」が緩和・解消されることに繋がると推測しています。
外国の若者は己のありようが自身の満足感を規定することに対し、日本のみ自己有用感が加わり,「この自己有用感と自分への満足感が比較的強く関連するという自尊感情のあり方は,日本の若者に,ある程度世代をこえて共通する特徴であると考えられる」
つまり,日本では、他者や社会に役に立っているかどうかが自己満足に繋がり、自尊感情を規定してしまっている。
日本人は、他者からの評価が常に基軸になっていて、20代の若者だけでなく、50代の世代まで
自尊感情が低く「生きづらさ」を抱えているようです。
『他者にとって自分が役立つかとか何ができるかとかではなく,人の評価を気にしない自尊や自己
肯定を含む自己理解力を高めることが,生きづらさを巡る問題状況を脱却する方途の1つに繋がると思料される。』
子どもの頃の読書量が、自己理解力を高め、自尊感情を引き上げ、生きづらさを和らげる可能性を示しています。
読書活動は収入やキャリアにも大きな差
子どもの頃の読書量の差が、年収やキャリアに大きな差をもたらしています。
子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sor/58/1/58_29/_pdf/-char/ja
この研究では、全国の成人5,258人を対象に、子どもの頃の読書活動と成人後の意識・意欲・行動、そして年収との関係をを用いて分析。
読書量やジャンルの多様性、周囲からの読書支援が成人の自己肯定感や向上心に正の影響を与え、それが年収にも関係していることが示唆されています。
また、前述の国立青少年教育振興機構の調査(令和3年)で、子どもの頃の読書活動が成人後の非認知能力に影響を与え、
これらの非認知能力は、職業的成功や収入に間接的に寄与する要因とされています。
読書が人生の質や経済的成果にまで影響を及ぼす可能性があることを示しています。
また、読書が年収やキャリアに大きな差があることが、その他の色々な調査でもわかっています。
★マイナビキャリアリサーチLab(2022年)
2009年と2021年の2時点での調査を比較し、「読書量が多い人ほど年収が高い」傾向を確認。
年収1,500万円以上の人のうち、月に3冊以上本を読む割合は30.8%に対し、 年収300〜500万円未満の人では22.6%。 管理職になると読書量が増える傾向もあり、部長クラスでは月3冊以上読む人が非管理職の2倍という結果も。
https://career-research.mynavi.jp/column/20220302_23138/
★パーソルキャリア(2019年)
「年収1,000万円プレイヤーの読書事情」に関する調査では、高年収層は読書を自己投資と捉え、継続的に学習している傾向があると報告されています。
https://limo.media/articles/-/15248?page=2
★総務省 家計調査(2019年)
年収923万円以上の世帯は、455万円以下の世帯に比べて書籍購入費が約3倍というデータ。高収入層ほど書籍に対する支出が高く、読書への投資意識の違いがうかがえます。
まとめ 学ぶことに遅いということはない
読書などを通じて、学ぶ人は、技術の進化や社会の変化にも柔軟に対応し、知識やスキルを積み重ね、チャレンジすることで失敗からも学び、自分をアップデートし続けることができます。仕事や人間関係でも強みとなります。
一方で、学ばない人は、変化に対する抵抗感が強く、現状維持になりがちです。同じパターンの思考や行動を繰り返すことで、人生の選択肢が狭まり、自信やモチベーションを失いやすくなる傾向があります。
学ぶ人と学ばない人の間には、収入面でも明確な差が生まれ、年を重ねるごとにその差は広がっていきます。人生の時間が経つほど、生き方働き方暮らし方に大きな差が出ています。
でも、大事なのは、いつからでも学び始められるということ。
学ぶことに遅いということはありません。
学ぶ姿勢を持つには、年齢や今の状態にも関係なく、「学ばない状態」から一歩を踏み出すことで新しい景色が見えるはずです。
まずは、学ぶモチベーションを高め、少しづつ学ぶ習慣をもつこと。
そのためには、
①自分の興味関心が高いことにフォーカスする
②仕事の成果やスキルアップに直結することもモチベーションから上がると思います
③スモールステップ、ハードルが高くなく達成感が得られる学びの小さな成功体験を積む
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