アメリカでは、「AIで仕事がなくなる」雇用の2極化がはじまっている

アメリカでは、「AIで仕事がなくなる」雇用の2極化がはじまっている

アメリカでは、アマゾンやフェイスブックなど大手テック企業を中心にして、AI技術の発展によって代替可能な一般事務職などの大規模削減が始まっている。アマゾンCEOなどトップ自身が「AIの広範囲な使用によって事務職の人員が減少が予想される」と明言。「AIで仕事がなくなる」時代に突入したと言えます。 それに対し、AIエンジニアの争奪戦も激化し、AIの発展による雇用の2極化も始まっています。

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#AIで仕事がなくなる

「AIで仕事がなくなる」と数年前から言われていましたが、アメリカのアマゾンやフェイスブックやマイクロソフトなど、大手テック企業ではAI発展により、AIで代替可能な一般事務職を大規模に削減する職務の代替が実行され始めています。

求人数のデータ分析から見ても、2022年ごろから通信やIT企業を中心に、「自動化しやすい職」と「AIと協働する職」の求人数の2極化が増加しているようです。

リストラなど人員削減でなく、配置転換やリスキリングを通じて対応する企業もある中で、日本ではどのようにAIによって、働き方が変化していくかしっかり見据えていくことが重要です。

「AIで仕事がなくなる」AIが実際に職務を代替する段階に入っている

アメリカの大手テック業界では、「AIで仕事がなくなる」が現実的になってきています。企業がAIによって実際に職務を代替し、人員削減の段階に入っています。

アメリカの大手テック業界で「リストラの嵐」

この記事によれば、

・マイクロソフトはAIへの多額な投資を背景に、短期間で複数回の人員削減を実施。
 2025年3月には製品・エンジニアリング部門で約7,000人を削減し、営業・マーケ
 ティング部門を中心に約4万5,000人規模のリストラを計画

・メタ・プラットフォームズは今年2月に全従業員の5%に当たる3,600人を削減。

・グーグルも2月から先月にかけて広告・デバイス・クラウドなどの事業部で
 数百人規模の人員整理を実施。

・2024年だけで約1万7,500人を削減したインテルは、ファウンドリー事業部の
 従業員の15〜20%を削減する計画

などなど、今年上半期の米テック企業の人員削減規模はすでに6万人を突破しているとのこと。

経営トップがAIによる人員削減に言及し始める

アメリカのIT大手、アマゾンは、AI導入で社内の働き方が大きく変わり、2025年6月17日、会社全体で生成AI(人工知能)を幅広く活用し、今後数年間でAIによって従業員の数を削減するとの見通しを示しました。

特筆すべきは、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)自身が言及したこと。

米アマゾン 今後数年間で従業員を削減へ AI導入で働き方が変化 | NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250619/k10014838841000.html

【NHK】アメリカのIT大手、アマゾンは、AIの導入によって働き方が変わり、今後数年間で従業員の数を削減するとの見通しを示しました…

ジャシー氏は17日に公開した従業員への書簡で、AIに対応できない人材は削減の対象になり得るとして、社員にAIに精通することを求めた。

生成AI(人工知能)の導入の推進で業務効率が向上し、「総従業員数は減る」との見通しを示しました。巨大IT企業のトップが、AIによる自社の人員削減に言及したのは初めて。

ChatGPTのOpenAIに所属していた複数の人物らが、同社のやり方に異を唱え、2021年に立ち上げた生成AIサービスを手がける、スタートアップ企業アンスロピックのダリオ・アモデイCEOも、インタビューで「AIが今後5年以内に全ての新入事務職の半数を消滅させ、失業率を最大20%まで急上昇させる可能性がある」と警告している。

AIによる仕事の自動化で解雇が増加

こちらの記事では、AIによる仕事の自動化によって、アメリカでは、通信会社やIBMなどがAIで代替可能な事務部門の雇用を削減し始め、約40万人がAIのために解雇されたと述べています。

AIが仕事を奪う?アメリカと日本の対応の違いとは|はぎわら ひろみ/RCAA

https://note.com/h_hagiwara/n/nc6e91b8b4f46

全ての仕事に甚大な影響を与える生成AI、AIを使いこなせば未来は明るい AIによる仕事の自動化は、世界中の労働市場に大きな影響を与えています。アメリカでは、通信会社やIBMなどがAIで代替可能な事務部門の雇用を削減し始め、約40万人がAIのために解雇されました。一方、日本では、AIの自動化により少なくとも25%の仕事が代替され、高度な知識労働では50%の失業率が予測されていますが、この問題はあまり認識されていません。 AIによる仕事への影響は、アメリカと日本でどのように異なるのでしょうか。そして、企業や政府はどのように対応すべきなのでしょうか。 アメリカではAI時代に適応する姿勢

TモバイルUSは7%のAI活用により従業員を解雇を決定。IBMは配置転換やリスキリングを通じて対応しており、AT&Tでは生成AIを開発推進。

企業側としては、競争が激化している環境で、常に変化する市場に適応し、顧客に最高のサービスを提供するために、AIによってビジネスを強化し競争力を高める必要があり、AIが実際に職務を代替する「AIで仕事がなくなる」段階に入っています。

AIによる雇用の2極化「代替」と「補完」

AIによる仕事の自動化で、「代替」が可能な事務部門の雇用の削減・人員削減がより厳しくなっている中で、逆に、AIによる仕事を「補完」するAI関連職の採用は急増しています。


AI関連職の採用が急増

米メリーランド大学と就職データプラットフォーム「リンクアップ」の共同研究によると、
2024年時点の、米テック企業の新規採用募集のうちAI関連職が占める割合は24%。
2023年5月(9%)、2022年5月(16%)と比較して急増している。

AIによる雇用の二極化とは、高度なスキルや知識を持つ職業が恩恵を受ける一方で、単純作業や定型業務に従事する職業が自動化によって仕事を失うという現象。

今後、さらに、AIによって「代替」される仕事と、「補完」することで生産性を高めたり、サービス品質を上げる仕事に分かれていく。

「代替」される仕事は人員削減され、「補完」する仕事は、ポジションも増え収入など処遇もより高くなっていく。

アマゾンのジャシーCEOも、「既存業務の一部は人員削減が必要となり、他業務は人員増につながるだろう」と述べています。

「代替」と「補完」がもたらす求人数が二極化

生成AIの登場前後で、アメリカの求人動向がどう変化したかの分析では、AIによる仕事の「代替」職種の求人減少とともに、AIによる「補完」職種の大きな増加が見られました。

生成AIがもたらす労働市場の二極化 ~求人蒸発職と協働創出職の狭間で、我々はどう生き残るべきか~ | 柏村 祐 | 第一生命経済研究所

https://www.dlri.co.jp/report/ld/465792.html

働き方改革、人生100年時代、リスキリング・リカレント、イノベーション、仕事・働き方、教育・学習、企業、次世代技術、デジタル化・DX、AI(人工知能)について、わかりやすく解説した調査・研究レポートです。第一生命経済研究所の研究員の柏村 祐が執筆しています。「…とは」「なぜ」「どうなる」などの様々な疑問にお答えします。

ハーバード・ビジネス・スクールから発表されたワーキングペーパー「Displacement or Complementarity? The Labor Market Impact of Generative AI(代替か補完か?生成AIの労働市場への影響)」は、アメリカの膨大な求人データ分析を実施。

生成AIの登場前後で求人動向がどう変化したかを、職種を「自動化しやすい職」と「AIと協働する職」に分類して分析した。
その結果、2022年ごろから労働市場において急激に2極化が見て取れます。

生成AIがもたらすのは「代替」による雇用の減少だではなく、「代替」と同時に「補完」という二つの力が同時に働いて、労働市場を二極化させている実態がわかります。

「代替」
AIによってタスクの大部分を自動化できる職種、「定型的な認知業務」が中心の職では、ChatGPT登場後に求人が17%も減少。テキスト生成、要約、翻訳といったタスクがAIに置き換えられ、企業がそのポジションの人員を削減し始めています。

「補完(協働)」
AIにはできない、判断や創造性が求められる「協働型」の職種では求人が22%も増加。
人間の能力を拡張するツールとしてAIを活用することで、新たな価値を創造しようとする企業が、新たな雇用を生み出していることを示しています。

AIによる求められるスキルの2極化も同時に起こる

この求人数の分析で、職種の2極化が求められるスキルの変化と連動し、単純化と高度化のスキルの2極化も同時に起きています。

自動化による「デスキリング(脱技能化)」

自動化しやすい職では、求められるスキルの総数自体が減少。

仕事がAIによって単純化・標準化され、自動化されることで、今まで必要だった専門的なスキルセットが不要になってきている。

これは、AIによる「デスキリング(脱技能化)」が現実のものとなっていることを示している。
デスキリングとは仕事がどんどん自動化されていき、労働者のスキルが低下すること。

かつて、ワープロの登場で漢字変換が自動化され、漢字を書けない人が増えたように、
ChatGPTの登場で、テキストの生成、データの分析/解析、文章の校正/校閲、情報の整理などが不要になってきています。

アップスキリング(技能の高度化)

自動化しやすい職と対照的に、AIと協働する職では、求められるスキルの総数が増加。

AIを使いこなすための技術的リテラシーを高めるだけでなく、AI技術を活用し、高い成果を出すための、より高度で複合的なスキルが求められるようになっている。これは、AI時代における「アップスキリング(技能の高度化)」の必要性を示唆している。

表面では見えない課題発見力・課題解決力、変化への対応、複雑な問題解決など、VUCAと言われるように、変化が激しく、仕事を取りまく環境が多様で複雑で曖昧な中で、AIを活用し高い実績を上げる必要性が求められています。

「AIで仕事がなくなる」人の職務転換が必須な時代

AIによる仕事の「代替」と「補完」について見てきました。AIにより大きな職務転換への支援が必要になってきています。

この雇用構造の変化で、アメリカではAIで仕事が代替される人たち、つまり「AIで仕事がなくなる」人たちが失業せず、職務転換できるよう政府レベルで行われる必要性があると警鐘しています。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)によると、米国でAIの発展に伴い職務転換が必要となる労働者の数は2030年までに1,200万人を超えると推計されている。これは在宅勤務の普及などにより大規模な職務転換が起きた新型コロナウイルスのパンデミック時(860万人)と比較しても約40%多い数字だ。MGIは「労働者の円滑な職務転換を支援するための大規模な職業訓練・再教育プログラムが必要な時期に来ている」と述べている。

まとめ AIによる「代替」と「補完」と「影響」

アメリカでの、「AIで仕事がなくなる」現状について見てきました。

これからの働き方を考え行く上で、AIに仕事を代替されないための対策を取っていくことが重要です。以下の4点を考えてみました。

1、AIなどによる雇用の変化の情報感度を高める
  アメリカでの大手テック企業の動きは、日本でも加速度的に起きてくることが予測できます。
  国や自治体や民間でも様々な支援が始まっており、常にアンテナを張り、AIなどによる雇用の変 
  化の情報感度を高めることが重要です。

2、AIで雇用を脅かさない企業を選ぶ
  アメリカでのテック企業の事例では、AIによる「代替」人材の人員削減策が目立ちます。
  これは、「AIで仕事がなくなる」というよりAIで仕事をなくす企業があるとも考えられます。
  積極的なリスキルや職務転換などで、AIで雇用を脅かさない企業を選ぶこともおすすめです。

3、「代替」されないようにリスキルする
   直接的なデジタルスキルやAIスキルなど、技術リテラシーとともに、課題発見・課題解決力や
   変化への対応、複雑な問題解決などアップスキルすることで、AIに「代替」されないスキルを
   磨くことも大切です。
    ・デジタルマーケティング資格「ウェブ解析士認定資格」

    ・デジハリ・オンラインスクール|Web、CG、映像、プログラミングの通信講座 
   
4、AIの「影響」が少ない仕事領域にチャレンジする
   今回は、AIによる「代替」と「補完」という側面にフォーカスしましたが、AIの「影響」を
   受けやすい仕事か、「影響」を受けずらい仕事かいう重要な別の視点があります。

   エッセンシャルワーカーでもあり、職人など技術継承者なども「影響」を受けない仕事です。
   比較的、ローカル産業が多く、今までホワイトカラー優先で日の目を見なった人にとって、大
   きなチャンスにもなると考えられます。

 この、AIによる「影響」に感じては別に記事にしていきます。

この記事のライター

「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。

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