あなたが会社員だったとしたら、今勤めている会社と自分との関係は、どのようなものなのでしょうか?統計的にみると働いている人の9割近くの人が企業で働いています。
企業を取り巻く環境の大きく変化しています。従来のように終身雇用は維持できない企業も多く、終身雇用を前提とした主と従のタテ関係も、多様に変化しています。
従来型のタテの主従関係だけでなく、会社と社員のフラットな関係、会社と社員はパートナーとしてのヨコ関係など、様々な関係が出てきています。
その環境の変化の中で自分はどう対応していくか、会社と自分の関係について見直していくことはとても重要です。
会社と自分の関係性について考える
会社と自分との関係には、色々な要素が関連してきます。
・生活のためのお金を得る関係
・会社を利用してキャリア実現を目指す関係
・仲間とワイワイと楽しく仕事をする関係
・社会的な地位やステータスを得る関係
・会社の理念に共感しやりがいを共有する関係
など・・・・。
自分にとってどんな会社と、どんな関係を取りたいのか人により様々だと思います。
1つのみの関係性ではなく、多様な関係性もあります。
会社とよい関係性にあり、職場で心地よく過ごせて、特に問題はないと考えている人もいらっしゃるかもしれません。でも、その会社と自分の関係がいつまでも変化なく続くかというと、決してそうではありません。
時代が大きく変化している現在、企業は生き残りをかけて、環境変化に対応し、事業構造の転換、雇用制度の見直しを実施しています。
もちろん、企業の規模や、業種、グローバル企業か国内のローカル企業かなど会社によって置かれている状況は違うと思います。
ただ、確かなことは、企業側は様々に変化せざるを得ないということ。
それに伴って、会社と自分の関係も多様に変化しています。
昭和の時代の経済成長時代の「みんな一緒」の、均一的な関係ではミスマッチが起こり、個人としてはリスクが大きくなります。
混迷とした変化の激しい時代。
経済成長時代の働き方や幸せのモデルもどんどん多様化複雑化しています。
新しい生き方働き方暮らし方を模索していく上で、時代を取り巻く環境がどのように変化しているか、その環境の変化の中で自分はどう対応していくか、会社と自分の関係について見直していくことはとても重要です。
働き方の多様な変化
これから数年のうちに、会社での働き方が大きく変わる可能性が考えられます。その働き方の変化は「会社と自分の関係」に大きな影響を受けます。
これからの働き方がどう変化するか予測することで、「会社と自分との関係性」もどのように変化するか考慮していくことが重要です。
これからの働き方の変化を、人生100年時代の長寿化、技術革新、時間と場所の自由化という3つの視点で考えてみます。
■人生100年時代 寿命の延伸
人生100年時代、平均寿命が延びたことで、働く期間も伸ばさざるを得ない時代です。
1960年代は平均寿命が65歳、その平均寿命に合わせて、雇用環境が制度設計されていました。
多くの人にとって、入社した会社に定年まで勤め上げるのが一般的。一つの会社に骨をうずめる考え方です。でも、人生100年と言われる現代では、一つの会社を勤め上げる人はとても少ないと考えられます。
変化が激しい時代に、企業の寿命、事業の寿命(ライフサイクル)を考えてても、一つの会社に勤めあげることは中々考えられません。働く選択肢が増えるとチャンスと考えれば、会社と自分の関係も変わるはずです。
■テクノロジーの急速な発展
現代は、AIやIoTのテクノロジーの急速な変化で、会社を取り巻く環境は、急激な技術革新が進み、市場や競合も常に変化し続けています。企業はそうしたテクノロジーの進化に対応していかなければなりません。
今まで、日本企業は、正社員の雇用を守ることを非常に大切にしてきました。だから、技術が変化しても、古い技術・スキルを人員の整理や、新しい設備投資として、古い工場を閉鎖して新しい工場を建てることをしませんでした。
でも、技術革新が進み国際競争力が低下し続ける中、企業も変わらざるを得ない状況を迎えています。リスキルやアンラーニングなど、取り巻く環境に合わせて社員も変わらざるを得ない状況です。働く個人として、会社と自分との関係も変わらざるをえません。
■時間と場所にとらわれない働き方
リモート技術などテクノロジーの進化で、時間と場所にとらわれない働き方が拡大しています。
特に、コロナをきっかけに、リモートワークが進み、在宅勤務も増加しています。フルリモート勤務も増え、働く場所を限定しなくて済むことで、自分の故郷にUターンしたり、子育てに優しい地方に移住したり、自由に働く場所を選べるノマドワーカーも増加しています。
働く場所と働く時間の制約がなくなったことで、仕事とプライベートのバランスも多様に選べるようになり、会社と自分の関係性を考えていく上でも、大きな影響を与えています。
従来型の日本型雇用慣行の問題
日本の企業が国際競争力を失っている中で、その本質的な原因として、日本型の雇用慣行があると言われています。
終身雇用性による日本型雇用慣行と大企業中心主義によって生まれた、従来型のいい学校からいい会社に入って定年まで勤めるといった「人生の幸福モデル」で、変化を嫌い、チャレンジしない社員が増え、イノーベーションが生まれないという問題が起きています。
日本型雇用慣行の見直しを図る企業も増え、当然、会社と自分の関係もみなさざるを得なくなります。企業事例として、グローバル企業として厳しい国際競争に勝ち残ってきた、建設機械最大手のコマツの坂根正弘相談役へのインタビュー記事から引用します。
前編:少子化を止める「優先順位の高い改革」とは?中原:まずは日本の産業界が抱える問題からご指摘していただきたいと思います。坂根:日本ほどひとつの産業に多くの人々がかかわっている国はありません。たとえ…
■国際競争力を失う日本的雇用慣行の問題
日本ほどひとつの産業に多くの人々がかかわっている 国はありません。日本の産業が多重構造になっているかということです。 では、なぜ日本がそうなったかというと、日本の雇用慣行に 本質的原因があります。
子会社や関連会社など、雇用を維持するために、多くの人を関わらせる日本の産業の多重構造を生み出す、従来型の日本の雇用慣行。
人手不足が叫ばれている中で、欧米に比べて、日本企業はムダな事業や仕事に雇用をたくさん抱えていると言われています。
正社員の雇用を維持するため、事業の多角化によるムダな事業や仕事を生み出す。
それらを整理して、新たな事業や仕事を生み、新たな労働力を生み出すことはせず、
人件費の圧迫を避け、変動費化するために、下請け孫請け構造や非正規社員を増加する。
古い雇用慣行により、会社と個人の関係性が画一的になっています。
■日本的な雇用慣行による「総花・平均・自前」志向
この国が抱えている問題として、日本的な雇用慣行からきた「総花・平均・自前」志向が、企業や大学を弱くしているということです。
「みんな一緒」の平均点主義。自分の強み(一芸)を伸ばすことをせず、何でも一通りのことはこなし、みんなが人と同じことをする。決めあれられたこと、上司から言われたことを、効率よくこなすことは強いけれど、挑戦意欲はなく、想定外の変化への対応力もない。
閉鎖的な組織環境の中で、取り巻く環境が大きく変化しても、自分たちはなんでもこなせるとそれに気づかず、外部環境の変化に気づかず「ゆでガエル」と揶揄されています。
自前主義で、外部の異質なことを排除してきたため、外部との連携を怠ることで、益々国際競争力を失う悪循環です。
■日本型雇用で人が動かない労働市場と現状
IoTやAIは日本の雇用を動かすチャンスといえるわけです。日本型の雇用形態でなかなか人が動かない労働市場に変化をもたらす、大きなきっかけになる。
定年延長も増えつつありますが、多くの企業では、一定の年齢を超えてからの給料は大きく低下。業績を上げ、高い知識やスキルを持っている社員は、モチベーションの低下が問題になっているようです。
従来型の幸福のモデルを追い求め従来の関係にしがみつく人。閉鎖的な従来型の幸福モデルから追い出された人。不満や、不安定な雇用での不安、モチベーションも低下し、そんな会社と自分の関係を仕方ないとあきらめている人。
知識やスキルや経験、職務内容と職務責任に応じた評価や給与が反映されない現状があります。
人材の流動化もなかなか進まず、画一的な雇用慣行の中で、仕方なく働いている人も多いような気がします。
定年後シニア活躍の再雇用制度、女性の採用、非正規社員の採用にも影響しています。
まとめ ~変化の時代に会社と自分の関係を捉えなおす~
働き方の多様な変化の中で、日本型雇用慣行が根強く、柔軟な会社と個人の関係性を持てない。
会社と自分は、組織従属型の「主従関係」。会社のタテ社会の中で我慢をしている人。正社員になり、安定した雇用保障のため、自分の裁量権を感じられない。も多いのではないでしょうか?
今、個人の多様な生き方働き方暮らし方と、企業側の制度や仕組みにギャップが埋まっていない過渡期だと思います。ただ、確実に企業側も変化しています。だから、変化する企業の雇用情報に敏感になって、自分と企業のより良い関係を見直していくことをおすすめします。
「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。