今、時代の大きな転換期にあります。今までとは違う、新しい生き方働き方暮らし方が必要になってきています。だから、行動変容し、自分イノベーションを実行していくために、自分が囚われている、思い込みや古い価値観に気づくことはとても大切です。
その自分が囚わている古い価値観に、直接的にも間接的にも、昭和の時代の「経済成長時代のパラダイム」があります。「パラダイム」とは「ある時代に特徴的な思想、価値観」。国や社会全体も、地域においても、職場でも、家庭や周辺においても「経済成長時代のパラダイム」による古い価値観に囚われていると思います。
該当しそうな、自分が囚われているもの、思い込み、影響を受けている古い価値観があればそれに気づくこと。
思い込みを見直し、古い価値観を変えるはじめの一歩になると思います。
古い価値観に影響しているパラダイムとは
古い価値観に影響しているパラダイムとは
ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み。規範。
パラダイムは、元々は、ある時代の特定の分野の専門家が当然の前提として受け入れている考え方や物の見方科学哲学上の概念だったが、現在では、最大公約数的に、「時代の思考を決める大きな枠組みや考え方や価値観」と解釈され、ビジネスなど様々な分野で用いられている。
自分が当たり前だと考えている、思い込みや古い価値観とも言える。
やっかいなのは、経済成長時代の古い価値観は、3世代に渡り、支配的なため、自分だけでなく、友人や家族など周辺の人も同じ古い価値観になっていることが多いこと。
だから、パラダイムは自分にとっての当たり前(常識などの固定観念・古い価値観)となってしまい、気づかないうちにその古い価値観に囚われ、時代や環境の大きな変化が起きた時に、新しい時代の「新しい物の見方や捉え方」に気づきづらいというリスクがあります。
親子3代に渡る経済成長時代のパラダイム(古い価値観)
一億総中流と言われたある時代、昭和の経済成長時代には、明確な生き方働き方暮らし方のパラダイムがありました。そのパラダイムの元で、みんなが幸福な生き方働き方暮らし方をして幸せな豊かな人生を送る・・・
戦後の貧しかった生活を乗り越え、経済成長の時代になり、右肩上がりで経済が伸び、収入がどんどん増え、欲しいモノに溢れ、生活が豊かになる・・・
そんな環境が未来永劫いつまでも続くと勝手に勘違いが生まれる。
そのインパクトが大きかったから、この経済成長時代のパラダイムによる古い価値観をそのまま引きずっている人、親や周辺の大人たちから引き継いだ子供たち、そして孫の世代まで、親子3代に渡り引き継ぐ・・・
経済成長がとっくに終わり成熟期になり、生き方働き方も暮らし方も大きく変化しているのに、多くの人を支配していたそのパラダイムの影響を受けた古い価値観は、まだ根強く多くの人に残り、その古い価値観に囚われているようです。
21世紀に入り、仕事や生活を取り巻く環境もどんどん変化しているのに、経済成長時代のパラダイムや、パラダイムに影響を受けた古い価値観に囚われている個人や産業や企業がとても多いのではないでしょうか?
代表的な経済成長時代のパラダイム(古い価値観)例
元杉並区立和田中学校校長の藤原和博さんが書かれた「今から始める戦略的人生計画 35歳の教科書」という本からと、自分自身の経験も合わせて、古い価値観に影響する代表的なパラダイムをピックアップしてみました。
■経済的に豊かになり新しいモノを手に入れて幸せになる
『成長社会では夢を描くのが簡単でした。人々は「新しい"モノ"によって幸せになる」
信じることができたからです』
戦後の焼け野原からそう遠くない経済成長時代は、まだまだモノが豊かでない時代。だから経済的に豊かになり「新しい"モノ"を手に入れて幸せになる」と皆が信じていました。
もっとモノを手に入れて生活が豊かになり幸せになる。周りの人たちも同じ夢を描いていました。
経済は右肩上がりで上昇し、収入はどんどん増え、家電製品や自家用車など色々な"モノ"が出てきてどんどん新しくなり、モノを買うことで生活は向上し幸せになった。
誰もがモノが増えることで幸せだと思えたから、もっと働いて収入を増やしモノを買った。
隣がカラーテレビを買えばウチも買い、ウチが電気冷蔵庫を買えばお隣が買う、かっこよい自家用車がでれば自分のお気に入りのクルマを無理しても購入・・・
ある種とてもステレオタイプ的ですが、その時代は同じ夢をみて同じ目的を共有していました。新しいモノを手に入れて、生活を豊かにして幸せになるという古い価値観はいまだに根強く残っています。
■社会が引いたレールに従えば間違いない
『良い高校に進み、良い大学に入れば、 一流企業に就職できるから幸せになれる』
良い学校を卒業して、良い会社に入れば、誰でも経済成長と年功序列で賃金は上がり、定年時には、充分な退職金が出て悠々自適。
社会が引いたレール、ライフプランに従えば、それぞれ思い描く豊かさ幸せが得られました。
企業の業績も経済に連動し右肩上がり上昇。それに伴い組織も拡大し、賃金カーブは、年功制で実績が出ていなくても、それなりの役職はつき収入はどんどん増える。良い会社に入れば、間違いない生き方働き方暮らし方に良い結果が得られる。
だから、皆こぞって、いい会社に行くために、いい高校いい大学を目指し、塾通いを始める。
その社会のレールに従うことが、唯一絶対のライフプランのように思われました。裏返せば、その社会のレールに従わないと、みんなが望むようなライフプランを描けなかった。
この社会のレールの従うという、古い価値観はいまだに、転職も起業も自由になった現在でも、主流だと感じます。
■ 「みんな一緒」の一億総中流意識
『こうした高度成長の中で「中流意識」が国民全体に 広がり、「一億総中流社会」が実現しました。戦後、食べるものもない貧しさを経験した人たちが一気に底上げされて、平均的に豊かになったのです』
社会全体が豊かになり生活の豊かさが底上げされることで、受験戦争や出世競争に思い通りの結果が出なくても、社会全体が右肩上がりに発展していたので底上げされました。
社会のレールに乗っていれば、「みんな一緒」にその流れに乗って、それぞれ満足のいく豊かさを得られ「中流意識」が国民全体に広がった。今のような格差は認識できず、自分も真ん中にいるという意識が広がったようです。
経済成長時代には、豊さんののりしろがあったので、生活に多少の差があっても、今ほどの格差ではなく、皆それぞれに豊かさを得られた。「みんな一緒」に豊かさを共有できた。みんな一緒の考え方、古い価値観は「みんなと一緒」でないことを、よしとしない雰囲気も作っていきました。
■没個性で出る杭にならない
『会社には骨を埋めるつもりで奉公する。少々理不尽なことがあっても辛抱しなければならないし、自分の意見は必要ない。 出る杭は打たれるから、目立たないように しなければならない』
終身雇用制度で、一度会社に入れば、大きな失敗をしなければ、退職まで会社にいることができ、年功制で収入も増え続ける。
会社の方針に従っていれば安泰。だから、大きな歯車の一つとして働く。
年功制のデメリットとして、上下関係が尊重されるタテ社会・タテ組織ができやすいことが挙げられます。会社が決めたこと、上司や先輩のいうことは絶対で言われたとおりにする。
会社の風土にもよりますが、多くの会社では、与えられた環境の中で、与えられた役割に忠実に言われたこと指示された通りに働くこと。余計なことをして失敗して減点されないよう、つつがなく目立たぬように立ち振る舞う。
大量生産・大量消費の時代で、それほど価値観も多様化していない当時は、言われたことを忠実にすることが求められました。
「みんな一緒」に、同じ目的を持ち同じ方向を向いているから、より良くするためと思い、前向きな自分の意見を言うと、時として自分勝手と思われてしまう。
だから、いつの間にか自分を出さず目立たぬよう人と同じようにするようになる。
没個性で出る杭にならないカイシャ人間が量産されていったように思います。
同じ枠組みの中で、個性を出さず、人と違って見えないようにする。この古い価値観は、若い世代の中でも浸透しているようです。
まとめ
『いかなる問題も、それが発生したのと同じ次元で解決することはできない』
アインシュタイン
アインシュタインの言葉にもあるように、自分が今、問題を感じているとしたら、その問題を引き起こしている物の見方や考え方の枠組みや古い価値観では、その問題を解決することはできない のです。
経済成長から成熟の時代へ、変化が激しく多様化し複雑化しているVUCAの時代とも言われています。自分らしい生き方働き方暮らし方は自分で作っていく時代に移っています。
今、自分の中で、様々な違和感を感じている人、なんとなくこのままでよいのか悩んでいる人。
自分らしい新しい生き方働き方暮らし方を考えていく上で、社会全体、企業も、家族や友人など身近な周辺の人も、自分が囚われている古い価値観、経済成長時代のパラダイムを知ること。
そのパラダイムが、自分のを物の見方や考え方の枠組みに、古い価値観にどのように影響しているか気づくこと。
新しい生き方働き方暮らし方に向かって、環境の変化の中で、古い価値観に囚われ、思考停止せず、新しい一歩を踏み出すためにとても重要です。
「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。