生成AIの登場、ロボットやIOTなどのテクノロジーの進化、グローバル化、人口減少、環境破壊など、今私たちは、急激な時代の変化の中にいます。経済成長時代の大量生産大量消費の経済中心の均一の社会とは違う局面になっています。
自分を取り巻く社会の変化や環境の変化で、新しい生き方働き方暮らし方も変化し、今まで閉塞感に溢れていた人にとって、ピンチがチャンスになり、弱みが強みになる多様な可能性がどんどん起きつつあります。
だから、今起こりつつある時代の変化を察知し、変化に対応し、準備を進めるかどうかで新しい生き方働き方暮らし方のピンチがチャンスになる方法に大きな影響が出ます。
今回は、EUで欧州森林破壊防止規則(EUDR)という法律が発行され、従来の経済オンリーの価値から、環境破壊など環境も配慮した価値が必須になっている変化に対し、その変化の中で、ピンチをチャンスに変える方法への気づきのヒントを探っていきます。
欧州森林破壊防止規則(EUDR)とは
欧州森林破壊防止規則(EUDR)とは、EU市場での販売、EU市場から輸出される対象品に対し、「森林破壊に関わっていない」と証明することが義務付けられる法律です。
2023年6月29日、森林破壊などを防ぐことで、地球温暖化の防止や生物多様性を守っていこうという趣旨の、デューディリジェンス義務化に関する新しい法律が発効されました。
この法律の適応の実施は、大企業は2024年12月30日から、中小企業は2025年6月30日から適用が開始され、違反をすれば罰則が課せられます。
罰則は取引停止まで含めた、とても厳しい内容です。
欧州森林破壊防止規則(EUDR)が発効される背景
こちらの記事から引用します。
EUDR(欧州森林破壊防止規則)の概要と要求事項 ―2024年12月に迫る適用期限に日本企業はどう対応すればよいのか
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/sustainability/eudr.htmlEUは森林の破壊と劣化を防ぐための新たな規制、EU森林破壊防止規則(EUDR)を2023年6月29日に発効しました。発効に至る背景や、日本企業に求められる対応とその課題などについて解説します。
EUDRの前身となる規則として2013年に発効されたのが「EU木材規則」(EU Timber Regulation、EUTR)ですが、同規則は木材の違法伐採を対象としており、違法伐採以外の森林劣化・減少は十分に対応できていないという議論が以前よりありました。そこでEUはEUTRを廃止し、森林劣化・減少につながる特定製品の市場流通・輸出を対象としたEUDRを新たに発効するに至ったのです。
世界の森林破壊のおよそ90%が農業、40%は家畜の放牧が原因だと言われています。
EUからの輸入で、農作物に関連した森林破壊の36%、反芻動物の家畜製品に関連した森林破壊の25%以上に相当したと言われています。EUが規制をかけることで、世界の森林破壊を大幅に抑制することができるわけです。
EUでは、それまであった木材の違法伐採だけでは、違法伐採以外の森林劣化・減少は十分に対応できていないことを踏まえ、森林破壊に大きく影響する世界中の取引、輸入、消費に関して、森林破壊、森林劣化・減少に関する法律を見直しました。
欧州森林破壊防止規則(EUDR)の対象商品と罰則
■対象商品
EUDRでは、森林破壊に特に寄与しているとされるカカオ、コーヒー、パーム油、大豆、天然ゴム、牛、木材の7品目と、カカオを原料としたチョコレートや、天然ゴムを原料とするゴム製空気タイヤなど、加工された派生品が対象になっています。
対象の7品目から加工された派生製品には、カカオを原料としたチョコレートや、天然ゴムを原料とするゴム製空気タイヤ以外にも、肉製品、皮革、コーヒー、ヤシの実、パーム油誘導体、グリセロール、大豆、大豆粉と油、燃料用木材、木製品、パルプと紙、印刷本などが広い対象になります。
グローバルな取引環境の中で、EUへの販売だけでなく、EUからの輸入も含め、原料及び加工品は多岐に渡り、様々な国が影響を受けることになります。日本の企業も、ももちろん大きな影響を受けることになります。
■欧州森林破壊防止規則(EUDR)の罰則
このEUDRに違反をした場合は以下のような罰則が科せられるようです。
・EU域内での年間総売上高の4%以上の罰金
・当該商品&当該商品の取引によって得た収入の没収
・公的調達プロセスおよび公的資金へのアクセスから一時的に除外(最大12ヶ月間/入札手続き・助成金・コンセッションを含む)
・EU域内における当該品目の一時的な取引禁止(重大な違反・繰り返しの違反の場合)
・「低リスク国」の場合、簡易デューディリジェンスの実行禁止(重大な違反・繰り返しの違反の場合)
該当する企業にとって、特にEU取引が大きい企業にとって死活問題にもなる、大きなペナルティーです。
取引環境の変化に対応し経営リスク(ピンチ)を新たなビジネス機会(チャンス)に変える
■森林破壊や生物多様性など環境の規制は国際指標になってくる
日本企業は、EUDRの要求事項を満たすために、サプライチェーンの透明性を高め、関連商品の生産・収穫に関する情報を正確に追跡管理することが求められる。そのためには必然的に管理体制やシステム構築という対応が必要となるだろう。EU市場への輸出を継続するためには、EUDRに準拠したデューデリジェンスプロセスを確立し、適切なデューデリジェンスステートメントを提出することが必要である。これにより、グローバルな市場での競争力を維持することができる。
欧州森林破壊防止規則(EUDR)に代表されるように、森林破壊や劣化する自然や生物多様性の保全は、世界で次々に規制化が進められており、自動車産業を含む様々な産業・企業にとって重要な課題になっています。
今後、規制に関して国際的な指標が標準化されれば、取引内容が厳重に監視され、事業者の取り組み体制やオペレーションも厳重にチェックされることになります。国内事業者にとっても、対岸の火事では済まされず、抜本的な対策が迫られることになります。
輸出だけでなく、多くの原料や加工品を輸入に頼る日本では、ほとんどの産業・企業が関連し、今までのように、自国・業界・自社の論理だけでは通用しない時代とも言えます。
自社を取り巻く環境の変化をしっかりと見据え、変化に対応し、適切な打ち手を打たないと事業の存続すら危うい状況になっています。
■「経済価値と環境価値の両立」という環境の変化に対応し、ピンチをチャンスに変える方法のヒント
森林のみならず、劣化する自然や生物多様性の保全は、世界で次々に規制化が進められており、自動車産業を含むすべての産業にとって重要な課題だ。これは経営リスクである一方で、新たなビジネス機会になりえる。日本企業はこの機会を活かし、経済価値と環境価値を両立させる事業に転換することが求められる。
グローバルな市場環境では、森林破壊など自然の劣化対応や、生物多様性の保全規制という大きな環境の変化がスタンダードになっています。今まで、日本で、自国・業界・自社の論理、商慣習だけでいられた企業もその変化への対応が迫られています。
経済的な価値の追求だけでなく、環境的な価値の追求の両立が必須になる時代です。
この経済的価値だけでなく、環境的な価値の両立はとてもハードルが高く、経営リスクになります。
サプライチェーンの透明性、関連該当商品の生産・収穫に関する情報の追跡管理をプロセス化する管理体制、システム構築、遅滞なく報告する仕組みなど、今まで対応していなかった企業にとって、大きな経営リスク(ピンチ)です。
でも、欧州森林破壊防止規則(EUDR)のように、関連する産業・企業にとって、その変化への対応はマスト条件です。対応できない産業・企業は生き残ることができないとも考えられます。
ただ、経済価値と環境価値に対する両立が国際標準化される機運の中では、対応している産業・企業の評価や信頼度はとても高まります。
今までの経済価値だけの追求では経営リスク(ピンチ)だったことが、経済価値と環境価値の両立という新しい変化に対応し、新たなビジネス機会(チャンス)を創っていく。
新しい時代の変化、環境の変化に対応することで違う景色が見えてきます。
まとめ
今回は、EUで欧州森林破壊防止規則(EUDR)という法律が発行され、従来の経済オンリーの価値から、環境破壊など環境も配慮した価値が必須になっている変化をお伝えしました。
環境破壊に対する全世界的な規制という時代の変化への対応が必須になり、国際標準化される可能性が高まり、経済価値と環境価値を両立する事業が求められています。
今までの、経済成長時代の経済価値オンリーの画一的な環境とは違う局面になっています。
今までの考え方とは違う、自分を取り巻く社会の変化や環境の変化で、経済成長だけでなく、持続可能性も両立する、新しい生き方働き方暮らし方も変化しています。
今まで、経済価値中心の環境では、閉塞感に溢れていた人にとって、経済価値と環境価値の両立という変化で、ピンチがチャンスになり、弱みが強みになる多様な可能性がどんどん起きつつあります。
「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。