老後「人生経営」の失敗 孤独で居場所がない人が増えている理由

老後「人生経営」の失敗 孤独で居場所がない人が増えている理由

新しい時代の転換期に、「自分イノベーション」を実現していく上で、「自分の人生を経営する」という視点、考え方、姿勢はとても大切だと考えます。 「人生経営」の失敗例として、老後に失敗する人も多いようです。定年して老後に、孤独で居場所がない人が増加している理由、起こしている社会問題、その背景など、老後の人生経営で失敗する人の事例から見ていきます。

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#老後の人生経営に失敗

時代の流れの中で戸惑っている人、人生100年時代に長い老後の人生に、不安を感じている人は多いのではないかと思います。

居場所がないなど、老後の人生に失敗している人も多く見かけます。

経済成長時代のパラダイム、社会や企業が引いたレールのもとで、外部が決めた価値観に囚われ、自分の価値観を見失っていることも大きな要因だと思います。

経済成長から成熟の時。新しい時代への転換期に、自分本来の人生を歩んでいくために「自分イノベーション」を実現していく。そのために、『世界は経営でできている』という本の「自分の人生を経営する」という視点はとても大切だと思います。

日常・人生にころがる「経営の失敗」を事例に、本当は誰もが「人生の経営者」であり、世界の見方を変えれば人生が変わることを伝える本です。

「人生がうまくいかない理由」を、日常生活や人生全般の「経営の失敗」に見ていくことで、意識変容・行動変容のきっかけになると考えます。

今回は、今話題になっているカスタマーハラスメントの原因にもなっている、老後「人生経営」の失敗事例を考えていきます。環境の変化に対応できず、老後の人生を、孤独で居場所がない人が様々な失敗です。

老後の「人生経営」に失敗する人は、居場所をなくしてしまう

『世界は経営でできている』という本の中で、多様化する環境の変化の中で、互いを認め合い、それぞれの居場所を奪い合うものではなく、自分も他者も幸せになる方法を創り合うにはどうしたらいいか、人生を「経営」するという思考・視点を身近な事例から提示しています。著者は「経営」をこのように定義しています。

結論を先取りすれば、本来の経営は「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」だ。

老後の「人生経営」に失敗する人は、自分の居場所をなくしてしまう。定年後だけでなく、勤めている会社の中でも居場所をなくしてしまう人も多いようです。

老後の人生をめぐる悲喜劇によって、老後の人生が台無しになってしまっている人も多いはず。

本の中で、老後の人生の失敗として、介護施設の中で介護士に対して威張り散らす人を事例化しています。老後の「人生経営」に失敗する人は、環境の変化に対応できず、居場所をなくしてしまうことで、現実的に様々な問題が引き起こされています。

まじめに定年まで勤めあげた人が陥る、老後の人生で「居場所がない症候群」

会社員として、まじめに定年まで勤めあげた人が、仕事を引退して、会社を離れたとたんに、自宅と職場以外の居場所を持たず、どこにも行くところがない、居場所がないことに気づくことが多いようです。

自宅と会社の往復の毎日が当たり前になっていると、定年後に職場以外に行くところがないこと、行くところもないし、何かをやろうとする予定も立てられない。

定年後職場を離れて、会社以外の居場所を持つ重要性に気づく。

老後の人生に失敗しない対策として、「きょういく」と「きょうよう」の重要性が言われています。

「きょういく」=今日、いくところがあること
「きょうよう」=今日、よう(用)があること

居場所を持ち、用事があることの重要です。

筋論クレーマー

今、カスタマーハラスメント(カスハラ)が話題になっていますが、悪質なクレームをつけるのは、中年層の男性と高齢の男性が特に多いようです。

「カスハラ」の中で多いのが“筋論クレーマー” 。

筋道を立てて論理的にネチネチと責める人。たちが悪いのは、対人サービス業に関わる従業員に対して、会社内や事業での自分の地位を語り、上から目線で攻めること。

特に、団塊の世代の人たちが定年を迎えた2009年くらいから、筋論クレーマーが増加しているそうです。

「カスハラ」中高年男性に“筋論クレーマー”多い傾向 筋道を立てて論理的にネチネチ | AERA dot. (アエラドット)

https://dot.asahi.com/articles/-/4659?page=1

年齢・性別分布を見ると、中年~高齢男性からの苦情が特に多く、100%の悪意によるものではないという。その背景に何があるか。AERA 2022年8月29日号の「カスハラ」特集記事から紹介する。

2009年は、団塊の世代(1947年から49年生まれ)の方がいっせいに定年退職した年。
定年退職して、自分の居場所を見つけられない人たちの筋論クレーマーへの道筋です。

定年退職した人たちは、社会での活躍の場はなくなった
   ↕
でもまだ社会とつながっていたい
   ↕
フリーダイヤルのオペレーターやサービス業の窓口に、上から目線で攻める

上から目線で、社会的代弁者や教育者のように自分の正義をぶつける。

定年後に、社会とつながる居場所、活躍できる居場所を、会社以外に持ち合わせていないために、社会とつながっていたいという欲求が満たされず、老後の人生経営に失敗している人が多いのだと思います。

犯罪に走る暴走老人

居場所がない老人が暴走化し、クレームを通り越し、犯罪に走る事例も多いようです。
筑波大学教授で犯罪社会学が専門の土井隆義氏によれば、居場所がなくなった老人の暴走化は十分あり得ると言っています。

増加する暴走老人の実態 若者の犯罪数上回る ささいな事から残虐事件にも…(1/2ページ)

https://www.iza.ne.jp/article/20150723-G62LMQXFUBL7XJ4B66DT5W6U3Q/

 高齢化社会といわれて久しい昨今、街には元気なお年寄りがあふれている。だが、なかには問題行動を起こす高齢者がいるのも事実。このほど、警察庁の調査によって、衝撃…

「現代の高齢者は高度経済成長を経験した世代だ。社会が前進していた時代で、彼らは欲望をあおられていた。年をとってもその頃の感覚をひきずっており、いまも社会に出ていこうとする。その半面、高齢者の活動の場は開拓されておらず、居場所はない。

仕事という側面では、定年後に高齢者の活動の場は限定されている。定年以前の、会社の中で、役職についていたり高い専門性があった人には、自分の居場所と思えない人も多いの出ないかと想像できます。

でも、老後人生に失敗する人は、現実と理想のギャップを受け容れられず、会社以外の居場所を持てないことが大きな失敗要因だと思います。

老後の人生経営に失敗してしまう背景

老後人生経営に失敗してしまう人、居場所がない人が増えている背景について、関係性やコミュニケーションに大きな時代の変化が起きていること、老後人生に失敗する人は、その変化に対応出来ていない、という視点から考えてみます。

価値観の大きな変化

経済成長時代の価値観が、バブルが崩壊して生き方や働き方や暮らし方に関連した価値観に大きな変化をもたらした。
・右肩上がりの成長が停滞したことで努力しても報われないと思う人の増加。
・非正規社員の増加で会社との関係が正社員とは大きく変わった。
・結婚し家庭を持ち子供を持つというライフスタイルも多様化した。
・収入が減る人が増え生活の中での優先順位が人それぞれ多様化している。

自分が当たり前だと思ってきた生き方や価値観やライフスタイルが当たり前ではなくなってきている。特に、会社勤めの時代と、定年後の時代では、自分の立場も大きく変化しています。老後の人生に失敗しないためには、その変化を認め、寛容になることが大事です。選択肢の多い社会は、誰もが暮らしやすい環境と考え方を変えること。

関係性の自由化・関係性のフラット化

仕事は自由に選べ、それに合わせて住まいも自由に選べ、勤務時間も変化しライフスタイルも多様化している。仕事関係だけでなく、友人関係も無理に付き合う必要もなくなってきている環境の中で、自由に関係できる場所を決められる関係性の自由度が増しています。

昭和の時代のタテの関係からヨコの関係を重視する世代が増えています。今までのように、上下関係を重視するタテの関係を嫌い、高圧的にタテの関係を押し付けられる環境は避ける傾向が強いです。

関係をもつこと自体も自由化し、無理に関係を持たなくても良い時代になり、自分の価値観を押し付ける人、特に上下関係で高圧的に関わってくる人は敬遠され居場所を持てなくなっています。

従来のタテ社会の均一画一的な関係性しか知らない世代は、時代の変化に適応できず、違う価値観や違うライフスタイルの人たちと、上手くコミュニケーションが取れません。

老後に失敗する人は、今までの関係性やコミュニケーションを変えられず、自分の居場所が持てない傾向にあるようです。

老後の人生を失敗する人は、上下関係をつくり自分を優位にしようとする

従来の日本社会では、良い学校から良い会社に入って、結婚して子供産んでマイホームを買うといった、ステレオタイプな幸福の価値基準が標準でした。それは、周囲と比較する価値基準です。

そんな、高度経済成長期以前の均一な決められた価値観の中で、できる限り他者との競争の中で、いかに自分が優位になるか、という考え方に縛られてしまっている人が多いのだと思います。

老後の人生経営に失敗し、居場所をなくしてしまう人は、過去の価値観を引きづってしまい、現在の多様な価値観を受け容れられず、自分の狭い価値観で上下関係をつくり自分が上の立場でマウントしようとしてしまう。

均一で画一的な価値基準の枠組みの中で他者と比較し、ひとつの価値基準の椅子を取り合っているようです。

老後に居場所を持ち上手く人生経営するためのヒント

大きな時代の変化、年齢による環境の変化、価値観の変化、関係性やコミュニケーションの変化など
様々な変化が複雑に絡み合っています。そんな変化の中で、老後に居場所を持ち上手く人生経営するためのヒントを参考になるサイトから引用します。

老後の人生の新しい経験に開かれた姿勢を持つ

老後の人生経営に失敗しないで、居場所をもつために、パーソナリティのひとつである「経験への開放性」の高さ(新しい経験に開かれていて、好奇心が高いという心理特性)という考え方がとても参考になります。新しい経験への開放性を高めるためのヒントが見えてきます。

高齢期における知能の加齢変化 | 健康長寿ネット

https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koureisha-shinri/shinri-chinouhenka.html

西田 裕紀子(にした ゆきこ)国立研究開発法人国立長寿医療研究センター老年学・社...

中年期から高齢期にかけて、身体的な変化、脳の変化、やる気などの変化を経験します。それとともに、仕事の引退、子どもの自立など、ライフイベントも多きく変化します。

それらの様々な変化をどう捉え、どう向き合うか。

変化に戸惑い、新しく経験することを避け、自分の殻に閉じこもり、自分の居場所を持てないでいるか、新しい経験に挑戦するきっかけとして捉え、好奇心を持って取り組めるかで老後の人生の経営に大きな違いが出てきます。

新しい経験を積極的に捉え、新しい活動をみつけ参加する、色々な新しい出会い、新しい情報や考え方を取り入れてみることなどにより、高齢になっても開放性を高く発達させ、老後に自分の居場所を持つことができます。

定年やライフイベントの変化に対し、新しい経験として開かれた姿勢を持つこと。仕事以外で興味関心がある活動に積極的に参加することがとても重要だと感じる指摘です。

でも、定年を迎えるタイミングで、急に、興味ある活動に参加することも難しいです。

老後の人生経営に失敗せず、居場所を持つために、やはり、現役の時代からそういう心づもりと、準備期間を持つことも、とても大切だと思います。

今までの会社員としての価値観をゼロリセットする

定年すると今までの会社での「役割」がなくなります。会社員・仕事人としてではなく、ひとりの市民として生活者としての役割が始まります。会社での価値観は全く通用しないと考えた方が上手くいくようです。

全く違う人間関係を結ぶ必要が出てきます。特に、会社人間だった人は、仕事中心の「役割」の中で、一つの価値観で生きてきてしまった人は、市民として、生活者としての「役割」や多様な価値観の中での人間関係を構築する必要があります。

定年後に「孤立した迷惑老人」となるオジサンに共通すること 目標、収入、居場所が「ない」 (3ページ目)

https://president.jp/articles/-/34146?page=3

いっぽう、うつになった自分を心から認めることができた人は、必死に学ぼうとします。学校を休み、職場を休み、いったん、これまで蓄積されたものがゼロにリセットされているから、「なんとかしなければ」と真剣に…

会社組織の競争環境の中では、常に緊張感を持ちストレスに耐えながら仕事生活を送らなければ送る必要があります。仕事での「役割」では、知らず知らずのうちに心は硬直しています。

生活の場に、その緊張感や硬直した心を持ち込むと、周囲の人まで緊張感に巻き込んでしまいます。生活の場に居場所を持つためには、組織における生活で硬くなった心、ますます疲れやすくなる体への価値観を緩めるリセットが重要です。

一人の地域の一員として、仕事とは全く違う人間関係が重要になります。

ある意味では、ずっと緊張とストレスの中にた人にとって、生活者としての「目標の立て直し」、「歩み方の見直し」が大切。新しい価値観に、開かれた姿勢を持つことが必要なのだと思います。

老後の人生に失敗しない人は、会社員の時代から会社以外のコミュニティーに参加する

老後に居場所がある人は、会社員の時代から会社以外のコミュニティーに参加しているようです。会社の中での価値観とは違う人と触れ合うことで、新しい価値観に気づくきっかけになります。今の会社との関係性も変わってくるはずです。

定年後「急に老ける人」と「若々しい人」決定的な差

https://toyokeizai.net/articles/-/443741

「定年後になって初めて、『居場所がある』ことの重要性に気づいた」。会社員として勤め上げて定年を迎えた人から、このような話をよく聞きます。「予定があることがいかに幸せか」。このような声もよく聞きます。…

ひたすら会社と自宅の往復で、会社以外の付き合いもない人は要注意。離れてみて初めて、会社というコミュニティに所属していることの重要性に気づいたということでしょう。

自宅と会社の往復だけの毎日の人は、会社というコミュニティは当たり前にあり過ぎて、その存在の価値さえ見えていないのかもしれません。

老後の人生に失敗する人と失敗しない人の大きな違いは、定年という区切りを見据えて、その前から準備を進めているかどうか。会社というコミュニティ以外で、自分の活動できる居場所を持っているかどうかだと思います。

まとめ 「自分の人生を経営する」という姿勢が大切な時代

老後の人生経営に失敗し、居場所がなく人の事例についてフォーカスしてみました。老後の人生経営は、仕事人生だけでなく、生活者として、一市民としての人生をしっかり見据えること。

会社人生・仕事人生は定年を迎えると終わってしまいます。もちろん、生涯現役として働く環境はこれから整っていくと思われます。

でも、老後人生を失敗せず、幸せに暮らすためには、仕事だけでなく、地域の中でのつながり、役割を持って、多様なコミュニティーに参加することだと思います。

そして、社会貢献という視点、価値を提供するという視点も大切だと思います。

世界は経営でできている

この記事のライター

「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。

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