本を読まない人がどんどん増えています。
SNSの普及や、時間に追われてることが大きな理由のようです。
その背景にあるのは、タイパに代表されるように、すぐに効果や影響がでることばかりが優先され、読書のようにすぐに効果がみえないことは敬遠される風潮もあるようです。
でも、これからの時代、本を読まないとどうなるのか?
今、時代が大きくかわり、変化が激しく複雑で多様なVUCAの時代になり、
広い視野であったり、多様な価値観を受け容れること、幅広い知識が必要になることなど、本を読むことの重要性が増しています。本を読まないと時代の変化に対応できなくなるリスクが出てきます。
SNS含め、テクノロジーの進化は益々進み、時間に追われる環境もどんどん加速してくことが予測される中で、読書時間を持つよう時間をキープする時間コントロール力がとても重要になっているということ。
今回は、時代の変化の中で、本を読まないとどうなるのか。本を読むことの必要性や、本を読まないことのリスクなども含めて考えていきます。
本を読まない日本人が急増中
文化庁が17日に公表した2023年度の「国語に関する世論調査」で、1か月に本を1冊も「読まない」とした人が6割を超えたようです。
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/94111701_02.pdf
この調査では、電子書籍を含めた本を、1カ月に何冊の本を読むかという質問に対して、62・6%の人が「本を読まない」と回答しています。
調査を2008年度から5年ごとに実施している中で、過去の調査では「本を読まない」人が5割を超えたことはないようです。調査方法の違いはあっても、2018年の前回調査18年の47・3%に比べて大きな増加です。
「本を読まない」人だけでなく、本を読む人の中でも、読書量は減っていて、「読書量が以前より減った」人も、過去最多の7割だったようです。
「読まない」が 62.6%に対し、「本を読む」の内訳として、「1、2 冊」が 27.6%、「3、4 冊」が 6.0%、「5、6 冊」が 1.5%、「7 冊以 上」が 1.8%で、「本を読む」人の中でも、読書量が少なくなっていることがわかります。
全体として、日本人は、本を読まない人が急増し、読書離れが加速しているように感じます。
本を読まない・本を読む時間・読書量が減っている理由
この調査で、本を読む時間・読書量が減った理由も質問しています。
Ⅲ 読書と文字・活字による情報に関する意識
<問8付問1> 読書量が減っている理由(28ページ)から
読書量が減っている理由として、
「スマートフォンなどの情報機器で時間が取られる」が、43・6%、「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」が、38・9%となっています。
前回の調査と比べてみると、
「スマートフォンなどの情報機器で時間が取られる」
今回43・6%で1位⇔前回36・5%で2位
「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」
今回38・9%で2位⇔前回49・4%で1位
本を読む量が減っている理由として、1位と2位が逆転し、スマホなどの情報機器で時間がとられる人が増加していることがわかります。
年代別詳細を見ていくと、状況がよくわかります。
60代、70歳以上の年齢の方が全体数値を押し下げていますが、「情報機器で時間が取られる」 は、20~30 代で6割台、16~19 歳で 70.9%となっている。若い世代ほど割合が高くなっています。
「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」は、20~40 代で他の年齢層より高く6割台です。若い世代は勉強で、20~40 代は仕事で、時間を取られ本を読む時間がないという状況が良く理解できます。
「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」ことと、「スマホなどの情報機器で時間がとられる」ことが合わさり、ますます本を読む時間が無くなっていると考えられます。
■本を読まないのは、時間を作っていないのではないか?という疑問
読書への必要性は感じ・国語への関心も高い
本を読まないのは、時間を作っていないのではないか、本を読む時間が作れないのではないか、という疑問が湧いてきます。
この調査の中に、興味を引く内容がありました。
●Ⅲ 読書と文字・活字による情報に関する意識
<問8付問1> 読書量が減っている理由(28ページ)
読書量が減っている理由 として「読書の必要性を感じていない」のは、全体で8.5%。世代別にみても、16~19 歳12.7%、20代9.5%と若い世代でも、読書の必要性は感じているようです。
●Ⅰ 国語とコミュニケーションに関する意識
<問1> 国語への関心(1ページ)
「非常に関心がある」を選択した人の割合が 13.5%、「ある程度関心がある」が 67.4%で、この二つを合わせた「関心がある(計)」は 80.9%
国語に関心はあり、本を読む必要性を感じている人が若い世代を含めて大多数であることがわかります。
子どもたちの読書量は増加傾向
大人たちの読書離れに反して、子どもたちの読書量は増えているようです。
大人は読書離れ 子どもは増加傾向 小学生 中学生 高校生は? “情報がノイズ” その意味は? | NHK
https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/012/08/【NHK】読書習慣についての文化庁の調査では本を「読まない」と答えた人が6割余りにのぼり大人の読書離れが浮き彫りとなりました。その一方で、子どもたちの読書量は増加傾向にあるという調査結果もあります。大人と子どもの傾向の違いや、理由などについて取材しました。
全国学校図書館協議会が毎年行っている2023年6月の「学校読書調査」によると、全国の小学4年生から6年生平均は12.6冊で、10年前の2013年の10.1冊と比べると2冊余り増えていて増加傾向にあるようです。
中学生は平均5.5冊で、10年前は4.1冊、1954年に調査を開始してから最高。高校生については、平均1.9冊でほぼ横ばい。
読み聞かせや仕組みづくりなどで、小学生・中学生の読書量は増加しています。それに対し、高校生が横ばいなのは、勉強での時間やスマホなどの情報機器で時間がとられているのではないかと考えられます。
これらを見ていくと、大人たちは、本を読みたくても、本を読む時間を作っていないのではないか、本を読む時間が作れないのではないかと強く感じます。
「なぜ、本を読まなくなってしまったのか」本質的な背景
本の必要性は感じ、国語への関心も高い現代人が、「なぜ、本を読まなくなってしまったのか」、より本質的な背景について考えていきます。
読書離れが進み、本を読まなくなってしまった、本質的な背景について、わかりやすく説明している本が出版されました。
「なぜ、本を読まなくなってしまったのか」、社会的背景を論じた、三宅香帆さんが書いた「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」です。
この本は、ことし4月に発売されたばかりなのに、累計発行部数が17万部のベストセラーとなっています。本を読みたくても、本を読めない人が多いことがうなづけます。
こちらの記事に、本を読まなくなった背景について、三宅香帆さんのインタビューがありました。
「まったり」「がっつり」気になりますか?文化庁調査 | NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240917/k10014583501000.html【NHK】17日、文化庁が「国語に関する世論調査」の結果を公表しました。「ゆっくり、のんびり」を『まったり』、「しっかり、たくさん…
この記事から、日本人が「なぜ、本を読まなくなってしまったのか」本質的な背景を考えてみます。
■読書をめぐる社会環境の変化「読書は自分に関係のないノイズ」
三宅さんは、読書をめぐる社会環境の変化について述べています。
簡単に時系列でみていきます。
・1980年代まで 小説や教養書などが売れていた
↕
・1990年代2000年代 自分の成長に必要な情報を簡単に指し示してくれる自己啓発本やビジネス書が流行
↕
・2000年代以降 自己啓発本に代わり、自分に関係ありそうな、すぐに入手できるネットの動画や画像に変化
実は、1990年代ごろに、多くの国立大学等では教養教育(教養課程)を廃止し、早期から専門教育に専念し始めました。
1990年代以降、大学も含めた社会全体が、専門を高めることに力点を置き、その成長ばかりに意識が生き、即効性のないことに関心がなくなっていきました。すぐに効果が見えない、文化・歴史・小説など教養書など、「自分に関係ない」という風土が出来てしまったのだと思います。
一方で、本を読むことは遠いところにあるものを想像したり、他者のことを考えたりすることで、そういう意味で今の人たちにとっては自分に関係ない情報、『ノイズ』というふうに感じてしまうのではないか。
現在では、自己啓発本やビジネス書を読まなくても、インターネットの動画やSNSなどで、自分に関係がありそうな情報がすぐ入手できるので、「本を読むこと」は、自分には関係ないことになってしまっているのだと思います。
■仕事や勉強やスキルアップなど結果を出すことに時間を優先
「本を読む」時間がないことの背景に、「しなければいけない」こと、結果を出すことに、社会全体が優先され、本を読むことによる情報は『ノイズ』となって、本を読む時間がとらなくなっているのではないかと考えられます。
「仕事を終えてもスキルアップを考えなければいけないとか、転職のために情報を集めなければいけない、SNSの投稿のために何か充実した行動をしなければいけないなど、余暇でさえ、みんなが焦って時間をうまく使おうとしている社会になっている。その結果、本のような何が起こるか分からない情報は『ノイズ』となり、読書に時間を使えなくなっている」と分析しています。
ある意味では、「しなければいけない」ことにだけ、意識が向いてしまい、視野が狭くなり、常に時間に追われ、自分を取り巻く環境の変化などを、敏感に察知できなくなっているとも考えられます。
本を読まなくなった背景、読書離れによって、自分好みでないものを排除していく社会になっていて、自分以外のものへの想像力が減っていると危惧しています。
「本を読まないとどうなるのか」本を読まないリスクを考える
本を読むことに対し、読書は自分に直接関係ないと敬遠したり、スマホや仕事などで時間を取られ本を読む時間がないという人の中でも、本を読む必要性を感じている人も多いようです。
VUCAとよばれる変化が激しい時代に、本を読む重要性は益々増してきています。これからの時代、「本を読まないとどうなるのか」気づくことも重要です。
■「本を読まない」と人生を切り拓いていく非認知能力に影響
「本を読まないとどうなるのか」、長年にわたる読書習慣の効果に関するとても重要な調査がありました。こちらの記事から引用します。
「本を読まない」影響が出るのは学力だけじゃない!? 大人への調査でわかったこと | LIMO | くらしとお金の経済メディア
https://limo.media/articles/-/26555#google_vignette国立青少年教育振興機構が2021年3月、「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」を発表。全国の20~60代の男女5000人を対象に、子どもの頃の読書習慣とそれが与えた影響を考察した調査結果は興味深いものになりました。
国立青少年教育振興機構が2021年3月「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」を発表。全国の20~60代の男女5000人を対象に、子どもの頃の読書習慣が与えた影響を考察しています。
読書習慣に関する調査のほとんどが、児童・生徒など子どもを対象にしたもので、大人向けの本格的な調査研究はとても貴重です。
読書習慣と学力の関係性
子どもの読書習慣と学力との関係性に関する調査研究は進んでいて、こちらの調査では、家庭内の本の数(蔵書数)と学力の関係を調べています。蔵書が多い環境は、必然的に本を読む習慣が高いと考えられます。
2021年度の「全国学力・学習状況調査」(文部科学省)では、家庭内の蔵書数と、国語・算数(数学)の学力テストの平均正答率は明確な関係を調査し、読書習慣と学力との関係性が示されています。
読書は人生を切り拓いていく非認知能力に影響
「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」では、学力だけでなく、この「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」で、大人になってからの「自己理解力」「批判的思考力」「主体的行動力」の意識・非認知能力は、子どもの頃の読書量と連動していることが示唆されています。
この調査結果だけで断言はできませんが、成人してからの意識・非認知能力の高低は子どもの頃の読書量と連動していることが示唆されています。つまり、「小中高を通じて読書を継続していると、社会人になってからもプラスに働く」というわけです。
現代は、グローバル化の進展、テクノロジーの加速など、先行きが見えない変化の激しいVUCA時代と言われています。「自己理解力」「批判的思考力」「主体的行動力」という非認知能力は、不透明な環境で、自分自身で人生を切り拓いていくのに必須の能力です。
小学生から高校生の10年間での「本を読むこと」、読書活動、読書習慣が、大人になってからの意識・非認知能力の高低に影響があるということ。
ちなみに、この調査では、電子書籍より、紙の本の方が意識・非認知能力がより高まるという結果が出ています。
「本を読まないとどうなるのか」、変化が激しいこれからの時代の、人生切り拓く非認知能力が身に付きづらいということがわかっています。
■「本を読まないとどうなるのか」普遍的な思考パターンを持てない
複数の他分野の専門知識と普遍的な思考パターンを持たないと、これからの変化が激しい世の中の変化に対応することは難しくなっています。普遍的な思考パターンを持つために、本を読むことはとても有効です。こちらの記事から引用します。
一つの専門分野の蛸壺に落ち込んでしまうと、世の中の変化に対応することができません。一見無駄に見える他分野の専門知識を横断的に習得し、専門分野に限定されない普遍的な思考パターンを持つ人材(Ⅱ型人材)が、変化が加速しつつある現代社会を長い年月生き抜くことができるのではないかと思います。
・ひとつの専門分野だけでは、VUCA時代の複雑な問題に対応できない
・変化が激しい時代に、その専門分野が陳腐化する可能性もある
・様々な専門分野の人と連携が必要な時にコミュニケーションが取れない
・一見無駄なように思える知識が問題解決の糸口になる可能性が高い
などなど・・
VUCA時代には、専門分野に限定されない幅の広い知識や情報が重要になります。そのために、本を読んでいる人と本を読んでいない人に大きな差が出てきます。
「本を読まないとどうなるのか」変化が激しい現代社会に必要な、幅広い知識や思考パターンが身に付きづらいこともわかります。
■「本を読まないとどうなるのか」生成AIに代替されやすい
ChatGPTに代表されるように、生成AIなどテクロジーの進化が加速しています。生成AIの進化に伴って、影響を受ける仕事も相当数あります。「本を読まないとどうなるのか」生成AIなどテクノロジーに代替されやすいことにフォーカスします。
AIに取られない仕事の特徴4つ!人間がAIに勝てるものを見極めよう | プログラミングスクールならテックキャンプ
https://tech-camp.in/note/technology/49280/#AI-2人間がAIに勝てるものとは?本記事ではAIに取られない仕事やAI時代に必要なスキルを紹介。AIに仕事を奪われる不安を解消したい方は必見です。
こちらの記事から、AIに取って替わられやすい仕事の特徴とAIに取られない仕事の特徴を見ていきます。
●AIに取って替わられやすい仕事の特徴
・コンピュータで完結する仕事
・簡単なコミュニケーションで済む仕事
・解析・分析・診断系の仕事
・管理・監視系の仕事
●AIに奪われない・AIに取られない仕事の特徴
・複雑なコミュニケーションが必要な仕事
・クリエイティブさが求められる仕事
・AIを開発・操作する仕事
・人が手で行う単純作業
この特徴の中で、「本を読まない」ことに強く関連する要素を見ていきます。
コンピュータで完結するかどうか
生成AIとは、深層学習や機械学習の手法で、大量のデータからパターンを学習し、人間の創造性を模倣拡張し、ビジネスや芸術など様々な領域で新しい創作をすること。
世界中のデータをインターネットなどで吸い上げてAI解析することで新しい絵や動画、文章のようなものを総称して生成AIと呼んでいます。つまり、シンプルに言うとコンピュータで完結する領域はAIの独壇場です。
スマホやSNSなどの情報や知識は、インターネットを通じてコンピューターで完結してしまいます。本を読むより効果的だからこそ、逆にAIにとっって代替されやいと考えられます。
クリエイティブさ(創造力)を発揮できるか
クリエイティブさ(創造力)に関しては、すでにお伝えしたように、学力や知識は持ちろん、非認知能力や思考パターンなど、「本を読む」ことで得られる可能性が強いです。
「本を読まないとどうなるのか」、生成AIが人間の創造性を模倣する時代だからこそ、人間らしいクリエイティブさ(創造力)が発揮できていないと、生成AIに模倣されてしまいます。
だから、簡単に生成AIに模倣されない創造性や独創性を持つために、「本を読む」重要性がどんどん増してくると思います。
複雑なコミュニケーションができるかどうか
「簡単なコミュニケーションで済む仕事」はAIに代替されやすいことにも通じます。
多様な価値観を持つ人、多様な役割の人、それぞれの人の関係性など、複雑なコミュニケーションは、自分以外の人への想像力が必須だと思います。
本を読まず、自分には関係ない自分以外のことに意識を向けず、自分以外の世界を知らないと、その自分以外の世界が想像できません。つまり、本を読まないとどうなるか、AIに置き換わられる可能性の高い「簡単なコミュニケーションで済む仕事」しかできなくなってしまうリスクがあります。
まとめ 変化の激しい時代、「本を読まないとどうなるのか」に気づく
本を読まない人が増えたこと、仕事やスマホなどに時間がとられている理由とともに、自分に直接に関係ない情報や知識は避け、「本を読まず」に、それらの情報や知識が効果的に得られるスマホやSNSに走る現代人の社会的背景についてみてきました。
変化が激しいVUCA時代、その変化はますます加速している時代に、「本を読まないとどうなるのか」について、考察してきました。
変化が激しいこれからの時代は、AIなどに置き換わられない人間でしかできないことが重視されます。経済成長時代の結果重視・効率至上の考え方や、価値観を転換する時期でもあると感じられます。
「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。