「100歳まで生きたくない」人生100年時代に向き合えない日本人

「100歳まで生きたくない」人生100年時代に向き合えない日本人

人生100年時代。長寿の恩恵とできず、「100歳まで生きたくない」人生100年時代に向き合えない日本人が多いようです。

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100歳まで生きたくない

人生100年時代と言われ始めていますが、日本人の多くは、100歳まで生きたくないと考えているようです。

100年生活者研究所が、「人生100年時代についての人々の認識」について、年に一度定点調査を実施。今回は、2024年3月に実施した最新の調査結果をレポート結果です。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6505032ae4b0351d62eb418c

調査で注目しているのは、「100歳まで生きたい」かという質問への結果。

日本人は、今回の調査国6カ国の中で、ダントツで「100歳まで生きたくない」と回答しています。
しかも、毎年100年の人生に向き合う態度が変わらず、「100歳まで生きたくない」と回答しています。

今回は、日本人の人生100年生きることへのネガティブな考え方、その背景にあるものを分析しながら、人生100年を生き生きと行きたいと思える方法について考え行きます。

日本人は、調査国6カ国中ダントツで「100歳まで生きたくない」

100年生活者研究所 2024定点調査レポート❶ 人生100年時代の二つの視点 | 100年生活者研究所

https://well-being-matrix.com/100years_lab/posts/100report_240318/

100年生活者研究所 2024定点調査レポート❶ 人生100年時代の二つの視点のページです。人生100年時代、幸せをあなたと探す研究所。「100歳まで生きたい!」とみんなが思える世の中へ。あなたの声を聴かせてください。

この調査結果で、日本人は、「100歳まで生きたくない」という結果が出ています。

日本人の大多数は「100歳まで生きたくない」という調査結果

今回は、日本、アメリカ、中国、フィンランド、ドイツ、韓国の合計6カ国で調査しました。昨年とは対象国をいくつか変更していますが、昨年に引き続き「100歳まで生きたい人」は日本が最も少ないという結果になりました。

日本人の中で、「100歳まで生きたい」と考える人は、
とてもそう思う8.2%、そう思う20.2%で、そう思う計28.4%と3割未満。

《6カ国のそう思う計との比較》
アメリカ 66.7%
中国 65.6%
フィンランド 58.4%
韓国 53.1%
ドイツ 52.8%
日本 28.4%

6カ国の比較でみてみると、日本が圧倒的に、「100歳まで生きたくない」人が多いことがわかります。この国別の比較から、日本人の100年の人生に向き合う態度が低いことがわかります。

では、なぜ日本人は「100歳まで生きたくない」のでしょうか。

日本人は「100歳まで生きる」ネガティブな側面ばかり注目している

日本人は「100歳まで生きたくない」理由として、わかりやすい調査結果があります。

この調査では、【100年人生に対する考え方】「自分の100歳までの人生についてどのように考えているか」ポジティブな側面とネガティブな側面を対になる質問をしています。

グラフを見ると、日本には他の国と比べてはっきりと低い項目が三つあります。

・自分の100歳までの人生を考えると、「みんなの役に立ちたい」という気持ちを感じる
・「100歳まで生きる」のは、チャンスが増えることだと思う
・私には、100歳の人は「幸せそうに見える」

この三つの調査項目は、100歳までの人生のポジティブな側面に関する項目でした。

特に注目すべきは、対になっているポジティブな質問とネガティブな質問の差が極端に大きくなっていること。

・100年の人生では、「みんなの役に立ちたい(32.6%)」よりも「迷惑をかけたくない」(71.2%) のように、迷惑をかけることを意識する人が多い。

・100歳まで生きるのは、「チャンスがふえること(28.7%)」ではなく「不安が増えること(60.0%)」と捉える人が多い。

・100歳の人は、「幸せそうにみえる(21.1%)」ではなく、「大変そうに見える(59.5%)」と考える人が多い。

この3つの対になる項目すべてにおいて、100年人生のネガティブな側面に注目する人は、ポジティブな側面に注目する人の2倍以上という結果です。

日本人は、「100年人生のネガティブ・サイド」に注目してしまう人がはっきりと多いのです。

「100歳まで生きる」ことへの考え方・意識の向け方・態度を変えてみる必要性

日本人の3割の「100歳まで生きたい人」は、日本人の7割が100年人生のネガティブ・サイドに注目しがちな中で、ポジティブ・サイドに注目しています。

「100歳まで生きたい人」では、日本で低く見られた三つの項目、「100歳まで生きるのは、チャンスが増えること」「みんなの役に立ちたい」「100歳の人が幸せに見える」が高くなっていることがわかります。

毎年の調査で、日本人の圧倒的に多くの人たちが、100年の人生に向き合う考え方・意識の向け方・
態度が後ろ向きなことが浮き彫りになっています。

もちろん、様々な不安要素も大きいと思いますが、「100歳まで生きたいと思うか」にネガティブな感情ばかり抱いていることのデメリットやリスクについても、考えていくことが必要な時代だと思います。

・100年人生の問題を先送りして遠い先のことと捉えていないか
 100歳まで生きるコトを自分ゴト化せず準備もしていない

・人生の後半戦に向け、忙しし過ぎて、肉体的にも精神的にも社会的にも大きな変化に適応できないでいない
 日々の忙しさに追われ、それどころでないとボディーブローのように心身に負担がかかっている

など、「100歳まで生きたいと思うか」について、真剣に向き合っていない可能性を感じます。

また、「迷惑をかけたくない」と思う背景に、自己責任・自助努力が当たり前な生活で、支え・支えられる経験を持たない人も多いのだと思います。

なんとなく、「ひとりでも生きていける」という感覚の人も多いのかもしれません。

でも、日常の生活の中でだれもが様々な支えの中でしか、生きていけないことは明らかです。
特に人生後半を過ぎているとなおさらです。

100歳を生きることに対して、前向きに考え方・意識の向け方・態度を変えてみることが必要だと感じます。

日本人の大多数が「100歳まで生きたくない」と考える理由

日本人が、なぜ「100歳まで生きたくない」と考えるのか、その理由についてフォーカスしてみます。

歳をとって人に迷惑かけたくない・人の世話になりたくない

こちらの記事から引用します。

「長寿大国ニッポン」なのに…日本人が「100歳までは生きたくない」と考えるワケ【老年心理学教授が解説】 | THE GOLD 60

https://gentosha-go.com/articles/-/63124?page=1

「人生100年時代」と呼ばれるようになった現代ですが、100歳まで生きたいと思っている人はどれぐらいいるのでしょうか。調査の結果、日本人の多くは80歳くらいが人生の長さにちょうどいいと考えているようです。そこで本記事では、権藤恭之氏による著書『100歳は世界をどう見ているのか』(ポプラ社)より一部抜粋し、長寿に対するアンケートをまとめた興味深いデータのほか「年をとること」の本質的な考え方についてご紹介します。

「何歳まで生きたいか」ということで答えが最も多かったのは80歳です。さすがに70〜75歳の人は85歳が最多ですが、だいたい「80歳ぐらいでいいや」と思っている人が多いのでしょう。ちなみに2022年の「簡易生命表」(厚生労働省)によると、平均寿命は男性81歳、女性87歳です。

「平均寿命を超える長寿の可能性」について経済産業省が示したものです。先の「SONIC研究」では、80歳前後の人に「100歳まで生きたいですか」と聞いて「はい」の割合は29%、「いいえ」は71%です。その理由は「寝たきりになりたくない」「人の世話になりたくない」というもので、健康だったら100歳でもいいけれど、という考えでした。

介護保険の認定率(2015年)では、90歳以上で男性の5割以上、女性の7割以上が要介護認定を受けている状況のようです。健康で100歳を迎えることは難しく、「100歳まで生きたくない」と考えてしまうのかもしれません。

「100歳まで生きる」ことにネガティブなイメージを持つ大人たち

大人だけでなく。「100歳まで生きたくない」「そんなに長生きしたくない」と考える若者たちが多いという調査結果があります。

45歳以上は知らない「学校で教わる"新常識"」

https://toyokeizai.net/articles/-/805193

篠田真貴子(以下、篠田): 「16歳から100歳のためのライフ・シフト」の講義では、著者のリンダ・グラットンさんが「人生100年、長生きは素晴らしいわね! マーベラス!」とおっしゃっていました。実際に中高生…

今日の対談に先駆け、いま関わっている13歳と21歳の意識調査をしてきました。そこで「あなたは100歳まで生きたいですか?」と聞いたところ、3分の1は「100歳まで生きたい。人生に期待している」という回答だったのですが、3分の2は「そんなに長生きしたくない」という答えでした。

今日の対談に先駆け、いま関わっている13歳と21歳の意識調査をしてきました。そこで「あなたは100歳まで生きたいですか?」と聞いたところ、3分の1は「100歳まで生きたい。人生に期待している」という回答だったのですが、3分の2は「そんなに長生きしたくない」という答えでした。

大人たちが、100年人生の人生設計を描いておらず、ネガティブな側面ばかりイメージしていることが、若者にも大きく影響していると考えられます。

また、『長生きに伴う問題』についての情報が氾濫し、「100歳までは生きたくない」とネガティブな側面ばかりクローズアップされている背景もありそうです。

本調査の研究員・田中卓さんは、「高齢者が多い日本では、年金2000万円問題や老々介護といった『長生きに伴う問題』についての情報が、広く流通しています。それにより、他国と比べて『長生きの負の側面』が浮き彫りとなり、100歳まで生きたいと思う人が少なくなるという結果につながっているのかもしれません」と分析した。

「100歳まで生きたくない」から長生きしたいと思える社会に転換する

日本人が「100歳まで生きたくない」と考える背景に、歳を取ること年齢を重ねることはいけないこと、『長生きは迷惑』をかけるという考え方になってしまう社会的背景があるようです。

『長生きは迷惑』という考え方を変えていくことが重要です。

「もし高齢者の世話を『人と社会に役立つこと』として当たり前に認識できる社会になれば、『長生きは迷惑』と感じることなく『100歳まで生きたい』と考える人が増えるのかもしれません」

高齢者をリスペクトし、高齢者の世話するのは当たり前な文化は、かつての日本にはあったし、全世界的も存在しています。

ブルーゾーンに見る100歳を生き生きと生きる人たち

世界で百寿者が集中している地域「ブルーゾーン」の秘密とは?|Society & Business|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)

https://madamefigaro.jp/society-business/231001-blue-zone.html

米国のジャーナリスト、ダン・ビュイトナーは、1990年代から、世界で百寿者が集中している5つの地域の生活習慣を研究してきた。Netflix配信のドキュメンタリーシリーズにもなった、ブルーゾーンの長寿の理由とは?米ジャーナリスト、ダン・ビュイトナーは、百寿者が多い地域の生…

「ブルーゾーン」とは、100歳人が多く暮らす世界の5カ所の長寿地域で、日本の沖縄が含まれます。そのブルーゾーンに共通しているのは「社会的結束力」。

近隣社会のつながりが保たれていて、結束力の強いコミュニティが存在していると言われています。

社会的結束力は孤立が特に悪影響を及ぼす人生の終末期において非常に効果を発揮する。サルデーニャでは老人ホームはなく、住民たちは自分たちで年寄りの面倒を見る。家族が交代で高齢者の食事を作ったり、手助けしたり、話し相手になったりするのだ。

ブルーゾーンでは、生涯現役という考え方、現役世代と引退世代を区別せず、高齢になっても生涯現役で役目をもって社会活動に参加しています。

長寿の最後の秘訣は私たちが高齢者に対して持っているイメージと直結している。ブルーゾーンでは、現役世代と引退世代を区別しない。沖縄の島では、「引退」という言葉すら聞かれない。その代わりに、人々は「生きがい」について語る。つまり、生涯現役であることで、自分の存在を意味あるものにしたい。それがブルーゾーンに住む人々の信念であり、百寿者になっても地域の仕事に参加し続ける。しかも社会に溶け込んでいる。「自分たちが必要とされていること、重要な存在であることを常に周囲から意識させられている」とダンは言う。カリフォルニア州ロマリンダでは他地域同様、定年退職があるが、高齢者は非常に活動的で、特にボランティア活動への参加率が高い。老化防止と、定年になって社会と突然断絶してしまうことを防ぐためにダンはボランティア活動の積極活用を提案している。

かつての日本にはあった年齢を重ねることへのリスペクト

日本には、天寿を全うするという考え方があります。
天寿を全うする(てんじゅをまっとうする)とは、自然の寿命を全うし、病気や事故などで早逝せずに長生きすることを指す表現。

そして、高齢者をリスペクトするする文化が日本にはありました。

老いを言祝ぐ

老いを言祝ぐ―能の世界から―

https://hikone-castle-museum.jp/exhibition_old/11081.html

 古来、多くの年を重ねた人を、単なる人間ではない人間を超えた存在とみなす考えが、広くありました。日本においても、老人は、長年にわたって培われた豊富な知識や経験を持つ年長者として尊ばれるとともに、強い生

日本においても、老人は、長年にわたって培われた豊富な知識や経験を持つ年長者として尊ばれるとともに、強い生命力を備え、人々の願望である長寿を体現した、めでたい存在と考えられてきました。このような長寿を象徴するめでたい存在、神に近い聖なる存在としての老人のイメージは、時代を通じて受け継がれ、美術、芸能、文芸などのさまざまな媒体において表されてきました。

めでたい言祝ぐ(ことほぐ)存在

【藤井薫】 強者ばかりがリーダーになるとは限らない

https://newspicks.com/news/3853823/body/

4月23日のThe UPDATEの議題は「令和時代に稼げるスキルとは?」。 ライフイズテック取締役の讃井康智氏、”東大ママ”の佐藤亮子氏、リクナビNEXT編集長の藤井薫氏、Creative St...

でも、(高齢者や子供は)”めでたい言祝ぐ(ことほぐ)存在”として昔から大切にされてきました。彼らの共通項は“弱々しい”ことです。守ってあげたいと強者の力を誘発するような存在。
つまり、本当にこの社会を作り上げているのは、強者ではなく、彼らが守りたいと思っている相手、弱者なんです。強さとは相対的なものであり、弱者が強者の力を引き出すんです。お互いにお互いを生かし合っている。そしてこの関係性において、必ずしも強者が「与える」側とは限らないのです。

かつての日本が持っていた老いを言祝ぐという文化を再生し、誰もが、「100歳まで生きたくない」から「100まで行きたい」「長生きしたい」と思える社会に転換することがとても重要だと思います。

まとめ 誰もが「100歳まで生きたい」と思える社会へ

日本人の人生100年生きることへのネガティブな考え方、その背景にあるものを分析してきました。

そこで見えてきたのは、現役世代と引退世代をはっきりと区別してしまう社会。その社会の中で現役でいることしか考えない現代人。引退し、長生きすることは迷惑をかけることという風潮が蔓延していること。

人生100年時代、かつて、日本人がしっかり持っていた、「老いを言祝ぐ」年長者へのリスペクトや、「天寿を全うする」天から授かった寿命を生き切るという考え方を取り戻すことがとても重要だと思います。

この記事のライター

「okinawa未来カレッジ」は、誰もが自分らしい明日へ一歩を踏み出せる、 未来に向かって前進し、新しいライフサイクルを創り出すコミュニティーを目指します。

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